京都府福知山市とパナソニックの協働 防災DXで安心・安全なまちに

一級河川・由良川の氾濫で、度重なる水害に見舞われている京都府福知山市は、パナソニック システムソリューションズ ジャパンの協力を得て、防災DXを進めている。スマート防災ソリューションの活用で、安心・安全なまちづくりを目指す。

福知山市 市民総務部 危機管理室 室長 森下 邦治氏(左)、同 西山 峻平氏(右)

戦国武将の明智光秀によって、福知山城やまちの礎が築かれた京都府福知山市。光秀のまちづくりへの挑戦心「光秀マインド」を受け継ぎ、様々な挑戦を続けている。

「世間では謀反人というイメージが強い光秀公ですが、戦乱や水害によって荒廃した河原に城下町を整備し、人々の税金を免除して、まちの発展の礎を築きました。市には一級河川の由良川が流れており、その治水対策を講じた人物でもあります」。福知山市市民総務部危機管理室の西山峻平氏は、その歴史を振り返る。福知山城は天正7年(1579年)頃に築城され、明治初期には廃城となったが、1986 年には「瓦1枚=3000円」で寄付を募る「瓦一枚運動」によって、5億円以上の寄付が集まり天守閣が復元された。

5年間で4度の甚大な水害、避難のあり方全般を検討

一方、市内を流れる由良川の氾濫で、市は災害救助法が適用される規模の水害に幾度となく見舞われてきた。とりわけ、近年は5年間で4度の甚大な被害が生じ、水害と向き合い続けている。

「これらの水害を教訓に、市では全国初の国・府・市連携による総合的な治水対策として、河川の拡幅や排水施設の処理能力向上などハード整備をしてきました。また、地域の特徴に応じた自治会ごとのマイマップづくりなど、ソフト対策も進めています」(西山氏)。

由良川の流域面積は、京都府の約40%を占める1880㎢だ。その上流部は勾配が急で流れが速い一方、中流部の福知山市に入ると勾配が緩くなって水が溜まりやすい。さらに下流部は勾配が緩やかで川幅が狭く、中下流部で水害が頻発している。

「近年は気象状況が激変し、社会環境の変化やスマートフォンなどの情報伝達ツールの多様化も進んでいます。このような中、市民の避難行動につなげるための情報発信やコロナ禍での避難所運営を含めた、避難のあり方全般に関する検討会を2019~20年度に開催し、最終とりまとめをしました」。

災害業務をつなげるスマート防災ソリューションを提供

福知山市による一連の災害対策を、官民協働で支えているのが、パナソニック システムソリューションズ ジャパンだ。同社はパナソニックグループのB to B事業を担当する、コネクティッドソリューションズ社(CNS社)に所属。防災無線をはじめとする公共事業向けの製品・サービスの事業を、開発・製造・販売・施工・保守が一体となった組織体制で展開している。

「パナソニックは長年、様々な公共事業や無線通信事業で製品開発に携わってきました。防災行政無線は1953年以来、約70年間にわたり、約600自治体に納入してきました。近年はデジタル化やデータ伝送などの技術的進歩に伴い、様々なシステムと連携させ、災害対策の現場課題を解決するトータルソリューションシステムを進化させています」。

パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社 パブリックシステム事業本部 システム開発本部 プロセスソリューション事業センター ソリューション1部 係長 大島 光博氏

パナソニック システムソリューションズ ジャパンのパブリックシステム事業本部システム開発本部プロセスソリューション事業センターソリューション1部係長の大島光博氏は言う。現在、同社では「あつめる・まとめる・とどける」という一連の災害業務をつなげるスマート防災ソリューションを提供している。

「あつめる」ソリューションでは、屋外の過酷な状況や夜間にも対応するネットワークカメラを使い、リアルタイムで河川や土砂を監視できる。また、センシング技術を使って避難所の混雑状況を把握し、コロナ禍の避難所運営もサポートする。集めた情報は防災情報システムで管理し、映像表示システムを使って災害対策本部と共有することも可能だ。

さらに気象警報や水位の観測情報、避難所の開設状況や被害などに関して多角的に集めた情報を、地図も使ってわかりやすくまとめるツールもある(「まとめる」ソリューション)。そして「とどける」ソリューションでは、防災行政無線の放送やメール、アプリ、ホームページなど様々なメディアを連携させて災害情報を配信できる。

一方、災害時の避難所は多くの場合、学校や公民館のような場所になるが、過去の災害では避難所の鍵が閉まっており、避難者がなかなか入れないという課題も生じている。そこでLPWA(Low Power Wide Area)の技術を使って遠隔操作し、職員が現場へ行かなくても避難所を開錠できる「鍵管理ソリューション」も提供している。

さらに鍵管理ボックスに顔認証技術を組み合わせ、災害時だけでなく、平時の鍵利用もスムーズに行えるようにするサービスもある。このほか、コロナ禍での避難所運営における様々な課題を解決するため、新たなソリューションも提案している。

「例えば、顔認証付きカードリーダーを使った受付端末で、マイナンバーカードや免許証から氏名や住所情報などを取得し、避難者台帳を自動作成できます。これを退場や再入場の判定にも活用し、避難者の人数集計が行えます。同時にサーマルカメラによる体温検知で感染の疑いを確認し、避難者受け入れをスムーズに行えます」。

自治会ごとに情報発信できる防災アプリもリリース

福知山市では今年5月に「福知山市防災」アプリをリリース。同市危機管理室室長の森下邦治氏によると、7月末時点で人口の10分の1に相当する、7600回ダウンロードされている。アプリを通じて日頃から、市民に気象情報や防災知識も提供。そして災害発生時には、避難情報に加えて、地域独自の避難判断に関する情報を自治会単位で配信することもできる。

また、防災行政無線の放送は、FMラジオでも放送できるようシステム連携を図っている。さらに、1つの操作で複数の媒体に配信できる、ワンソースマルチユースの機能で省力化を実現できているという。これらの災害対策でも、パナソニック システムソリューションズ ジャパンの協力を得ている。同社ソリューション1部 課長の沼隆久氏は「今後もソリューションサービスを進化させ、自治体との共創を通じて、より安心で安全な社会の実現を目指したい」と語った。

パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社 パブリックシステム事業本部 システム開発本部 プロセスソリューション事業センター ソリューション1部 課長 沼 隆久氏

 

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