本格化する「医療4.0」、デジタル社会の医療の価値とは?

医学・行政・ビジネスの観点から医療・ヘルスケア業界の事業戦略を考える本連載。新年号となる今回は、政府・与党の政策と筆者の視点から2030年に向けた医療DXの方向性を考察する。AI等のデジタル技術が社会に浸透する中で、医療や医師の価値は問い直されつつある。

政策の方向性から探る
医療DXの今後

本連載も今回で30回目になります。これだけ長く連載をさせてもらっているのは本当にありがたいです。この連載を開始してから2年半が経ちますが、この間で医療・ヘルスケア領域のDXの機運は大きく高まりました。例えば、2022年6月に出された『経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~』(骨太方針2022)でも「医療DXの推進を図るため、オンライン診療の活用を促進するとともに、AIホスピタルの推進及び実装に向け取り組む」と書かれたように、いよいよ政府としてもオンライン診療やAI導入を進めることを明言しています。

今回は事業開発に向けて、改めて未来にあるべき医療・ヘルスケアの姿を政策の面と筆者が感じている変化の両面から皆さんに共有したいと思います。

自民党のデジタル政策ビジョンと
医療DXに関する政策

まず政策の面からです。これに関して、筆者は2022年11月末に自民党本部で開かれた「デジタル社会推進本部」に、有識者として発表・参加する機会を得ました。デジタル社会推進本部は日本のデジタル社会推進の方向性について積極的な議論を行っている自民党内の組織で、2022年5月17日に「医療DX令和ビジョン2030」を提言しています。

今回の連載の冒頭で骨太方針2022の内容を引用しましたが、骨太方針で書かれている医療の今後の方向性は、そもそもは「医療DX令和ビジョン2030」に書かれている内容で、ここでの記述の一部が骨太方針などに反映されています。例えば、総理大臣を本部長とする「医療DX推進本部」を設置することや、全国医療情報プラットフォームを創ること、電子カルテの標準化を進めることなどは骨太方針よりも先に「医療DX令和ビジョン2030」で記述されていたことで、今後の医療の方向性を予想しようと思うのなら、まず「医療DX令和ビジョン2030」を読めば、これから政策として進むことがわかります。

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