ハイブリッド葬やアバター葬など、時代を先取りする葬儀を提案

大分県を拠点にし、地域に根差して成長を続けてきた大の葬祭グループ。コロナ禍により葬儀のあり方は大きく変わりつつあるが、時代のニーズを先取りする多様な葬儀プランを提供して、顧客の支持を集めている。同社三代目社長の川野晃裕氏に、創業からの発展経緯と今後の事業構想を聞いた。

川野 晃裕
大の葬祭 代表取締役社長

逆転の発想で成長

 創業50年を迎えた大の葬祭。現社長の川野晃裕氏は創業者・川野肇氏の孫で三代目となる。二代目で父である現会長の川野博美氏が、30年前に会館型の葬儀を始めたことが、同社発展の転機となった。

「昔は自宅で葬儀を出すことが当たり前でしたが、当社が大分県南部(県南)では初めて、火葬場の隣に葬儀会館をつくりました。今日では葬儀会館で葬儀を行うことは当たり前ですが、当時は珍しかったのです。それは時代を見越してということもありますが、出棺用の霊柩車を保有すること自体が行政の許認可制度で規制されており、既得権益性が強いため簡単に許可が下りなかったのです。普通ならそこであきらめるか、何年も取れない許可という目標に向かって時間を浪費するところを、父は発想を変えて、火葬場の隣に葬儀会館をつくってしまえば出棺霊柩車も必要ないのではと考えました」と川野晃裕氏は語る。

二代目の川野博美氏は、さらに独自ブランドをつくり事業転換を図った。大手から紹介される仕事を請け負っていれば供給は安定するが、売上や利益を伸ばすことは難しく、元請けの考え方ひとつで仕事がなくなる可能性もある。結果的には、社員の待遇も改善できない。そこで一大決心をして会員制度をつくり、独自ブランドで直接葬儀を請け負うことにしたのだ。

「もしかすると売上がゼロになってしまうのではという恐れもありましたが、敢えてチャレンジをしたのです。当初は苦戦していましたが、並々ならぬ営業努力と、葬儀会館と火葬場が隣接しているという利便性が受け入れられ、事業は成長していきました」

27歳で三代目社長に就任

川野氏が社長に就任したのは27歳の時。保険会社に勤めていたが、24歳で帰郷し、3年間の下働きを経て、父に社長をやりたいと申し出た。

川野氏の写真入り大看板が同社のシンボル

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