医療・ヘルスケア領域の「値付け」の誤解 価格から見る参入余地

医学・行政・ビジネスの観点から医療・ヘルスケア業界の事業戦略を考える本連載。医療領域のビジネスの特徴として「価格が国に決められている」と言われることは多い。しかし、企業側が価格を設定できる領域も実は多く存在する。

「価格は国が決めている」は本当?

当たり前ですが、ビジネスを持続的に成立させるためには、事業において売上が発生して利益が出るビジネスモデルを作る必要があります。今回はそのビジネスモデル構築の中でも筆者が最も重要と考えている「価格」について、お話ししようと思います。

皆さんは、医療・ヘルスケア領域って「価格が国に決められている」と思っていませんか?または、「ヘルスケア領域は自社で価格を決められるが、医療領域は国に価格を決められている」と思っている方も多いのではないでしょうか。これは、両方とも間違っています。医療・ヘルスケア領域の中でビジネスモデルとして企業が考える価格のほとんどは国に決められるものではなく、自社で決めることができます。逆に言うと、国に価格が決められているものは医療・ヘルスケア領域の中の一部なのです。

こう言うと、「いやいや、そんなはずはない。医療機関を受診したときの費用は保険点数というもので決められていて、CTやMRIを1回撮影したり、眼科医が患者さんの目を診察したり、一つ一つの行為に対して点数が決まっていて、1点10円として計算されているはずだ。そして、2年に1回診療報酬改定という保険点数の見直しがあって、そこで医療行為の価格表が国によって決められているはずだ」と言い返されることが非常に多くあります。もちろん上記の「医療機関を受診したときの診察の費用は保険点数で決まっている。保険点数の1点10円で計算したものが価格となる」は正しいのですが、ここでいう保険点数の「価格」というのはあくまでも「医療機関-患者」の間での価格の取り決めであって、「企業-医療機関(Business to Medical institution:B to M)」や「企業-患者(Business to Patient:B to P)」といった企業のビジネスモデルにかかわる価格の取り決めではないのです。

図 医療領域で機器・サービスにつく価格

出典:原稿内容を元に編集部作成

 

企業と医療機関の間の
値付けは自由

国に決められているのは一部と書きましたが、国が価格を決めている代表的なものには医療用医薬品(処方薬)や医療用材料(一部の医療機器)が挙げられます。患者さんが医療機関に支払う費用は国に決められていますが、医療機関が企業に支払う額は決められていません。企業は、ある診療の保険点数を請求するために必要な検査機器などの値付けに際して「患者-医療機関」の保険点数の金額を参考にはしますが、その金額よりも高く、または低くしないといけないという決まりはありません。

全文を読むには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り62%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全文読むことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事15,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。