企業の知見を結集 コロナで苦境の展示会・イベントのDXを推進

バーチャル展示会サービスで注目を集める日本オンラインバーチャルイベント展示会協会。同協会の奥村美徳専務理事は事業構想大学院大学のプロジェクト研究に参画し、事業開発を進めてきた。

バーチャル展示会のあらゆる機能を
ワンストップで提供

コロナ禍の影響でリアル空間での展示会・イベントを開催しづらい状況が続く中で、オンライン上でのバーチャル展示会・イベントの需要が拡大している。この市場で存在感を発揮しているのが、IT企業や広告代理店が連携して2020年10月に設立された、一般社団法人日本オンラインバーチャルイベント展示会協会(JOVEA)だ。

JOVEA 参加企業が開発・販売する「DX EXhibition」は、バーチャル展示会に必要なツールをワンストップで提供するサービス

JOVEAの参加企業が開発・販売するバーチャル展示会サービス「DX EXhibition」は、多彩な会場ブースやCMS、アクセス解析、オンライン名刺交換、セキュリティ、集客、AR・VRコンテンツ、AIチャットボットなど、バーチャル展示会に必要なツールをワンストップで提供するものだ。「納期は最短で10日、価格は100万円以下と、競合サービスに比べ大きな優位性を持っています」と話すのは、JOVEA専務理事でジャパンプランニングセンター(名古屋市)執行役員の奥村美徳氏。DX EXhibitionはすでに民間企業や自治体主催のバーチャル展示会に多数採用されている。

「弊社は広告代理店で、コロナ禍で展示会の仕事を失った協力会社の声を聞いて3月頃にバーチャル展示会サービスを発案しました。VR・ARの技術開発やWEBデザインを手掛けるアイデアクラウド(新部昌也代表取締役CEO)や、中京テレビと連携して昨年7月に任意団体としてJOVEAを設立、10月に一般社団法人化しました」

プロジェクト研究参加が転機に

バーチャル展示会サービスを構想し、JOVEAの立ち上げを主導した奥村氏は、2019年12月にスタートした事業構想大学院大学の「名古屋新規事業開発プロジェクト研究」に参加したことが転機になったと振り返る。

プロジェクト研究は、新規事業担当者や事業承継者などを対象に、教授陣やゲスト教員の支援のもと、1年間で自社の新事業の構想とその実現のための構想計画を立てる講座だ。名古屋新規事業開発プロジェクト研究には奥村氏を含め10数名が参加した。

「プロジェクト研究はイノベーション方法や新規事業開発に関する幅広い知識を得られただけでなく、何よりも人が魅力でしたね。異業種が幅広く集まっていたため、新しい事業アイデアを共有すれば、教授陣や受講生が様々な意見を出してくれました。アイデアを叩き、磨き上げる場として非常にプラスでした」と奥村氏。

プロジェクト研究を担当した青山忠靖特任教授は「一般社団法人化して幅広い企業を巻き込むことに成功したJOVEAの事業モデルは見事だと思います。奥村さんがどんどん新規事業開発を進める姿勢は、他の受講生にも大いに刺激を与えました」と語る。

JOVEAは今後さらに参画企業を募りながら、国内約1.5兆円と言われるBtoB展示会・見本市市場を開拓していく。「新型コロナウイルスの制限がない状態に戻ったとしても、リアルのイベントや展示会をDXで魅力化・効率化させるニーズは消えないはずです。参加企業の力を合わせ、展示会・イベント業界の発展に寄与していきます」と奥村氏は目標を語った。

奥村 美徳 一般社団法人日本オンラインバーチャルイベント展示会協会専務理事、ジャパンプランニングセンター執行役員