自動車工学がヒントに ヤマハ出身者が生んだ「柔らかい床材」

年間100万件発生している転倒骨折。高齢者の転倒骨折を防ぐために、Magic Shieldsは転んだときだけ柔らかく変形する床材「ころやわ」を開発し、病院や高齢者施設に提案している。自動車工学の技術を応用して開発した唯一無二の床材で、高齢化社会の課題解決に挑む。

年間100万人が転倒骨折

日本における高齢者の転倒骨折は、2000年から2020年の間に2倍に増えており、年間約100万人が転倒骨折している。また、骨折をきっかけに亡くなる人は年間5万人、大腿骨骨折にかかる医療費・介護費は年間2兆円に達する。

超高齢化社会を迎えつつある日本にとって大きな社会課題だが、この課題解決に寄与する画期的な製品として注目を集めるのが、2019年に創業したスタートアップ、Magic Shields(マジックシールズ)の開発した骨折予防床「ころやわ」だ。この床材は、歩いているときは硬くて、転んだときだけ柔らかい特殊な性質を持っている。

「お年寄りにとって転倒による骨折は命に関わるものです。特に大腿骨骨折の場合、4割の方は歩けなくなってしまい、さらにその半数の方が1年以内に亡くなっています。実は私の祖母も転倒骨折から寝たきりになってしまいました」とMagic Shields代表取締役の下村明司氏は語る。

下村 明司
Magic Shields代表取締役(左から2人目)

転倒骨折は病院や高齢者施設、一般家庭と幅広い場所で発生しているが、転倒予防は難しい課題だった。フローリングをカーペットや畳に変更しても、床は依然として硬すぎて、骨折の発生率はほとんど変わりない。手すりや歩行補助杖を利用しても転倒を防ぐには不十分だ。厚めのクッションマット等をベッドサイドに敷いて転倒時の衝撃を和らげる方法もあるが、マット上での歩行や車椅子の利用が難しくなってしまう。

結果的に、転倒予防は人手に頼らざるをえない状態だ。しかし看護師・介護士は慢性的に不足している。介護士の業務時間の25%が転倒予防に関わるものだという調査データもある。

自動車工学の技術を応用

こうした課題に着目して開発された「ころやわ」は、歩いているときは硬く転びにくく、杖や車椅子でもへこまない。一方で、転んだときには床面がへこんで衝撃を吸収し、怪我を防ぐことができる。

「ころやわ」は平時は硬いが(左)、転んだときには衝撃を吸収する機能を持つ(右)

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