奈良最古の醤油蔵元を再興へ 築130年の蔵を高級ホテルに

遅くとも弥生時代には人々が暮らしていた、農村としての長い歴史を持つ奈良盆地中央の田原本町。そこにある古い醤油蔵が70年ぶりに復活し、かつ古民家ホテルとして観光客を迎え始めた。地域の農家や事業者と協力して、他では得難い経験を宿泊客に提供しつつ、地域の活性化を目指す。

木村 浩幸(マルト 代表取締役社長)

奈良盆地中央部の田原本町に、2020年8月29日、古民家を改装したホテル「NIPPONIA 田原本 マルト醤油」が開業した。マルト醤油は、1689年に創業した奈良県最古の醤油蔵だが、第二次世界大戦後の食糧難などを理由に、 70年前に醸造を止めていた。18代目当主に当たる木村浩幸氏は、2017年に新会社マルトを設立。醤油醸造の復活と併せて、築130年の蔵を高級ホテルにし、宿泊客の受け入れを開始した。

昔からの風景を楽しむ高級ホテル

このホテルは、歴史的建造物の保存と活用、土地の文化遺産を活用したまちづくりを目指して開業した「NIPPONIA」ブランドの最新のホテルだ。マルト醤油の屋敷は「大和棟」と呼ばれる、奈良県でよく見られた様式の古民家で、切妻屋根と漆喰のコントラストが美しい。ホテルへの改装に必要な資金などは行政からの補助金と、民間ファンドの資金、地元銀行からの融資などを当てた。なおこのうち民間ファンドは、南都銀行と三井住友ファイナンス&リース、そして古民家再生を手掛けるNOTE(兵庫県丹波篠山市)が立ち上げた「奈良古民家まちづくりパートナーズ」が運用するものだ。

マルト醤油の母屋は奈良固有の「大和棟造り」の特徴を残す。NIPPONIAでは、敷地内の建物の一部を改装、宿泊施設とした。室内は古民家の良さを生かした和洋折衷

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