「食べる通信」創設者がアプリを展開 生産者・消費者をつなぐ

ポケットマルシェは、消費者が、農家・漁師と直接交流しながら生産物を購入できるプラットフォームだ。消費する食料の選択とその生産は、国の安全保障や地球規模の気候変動にも影響する。分断が進む生産と消費の現場をアプリで再び結び付け、双方が安全で安心できる社会を模索している。

高橋 博之(ポケットマルシェ 代表取締役CEO)

ポケットマルシェ(岩手県花巻市)は、スマートフォンやPCで、生産者から消費者が食材を直接購入できるサービスを運営している企業だ。代表取締役CEOの高橋博之氏は岩手県出身。東日本大震災後、岩手県沿岸部の漁業者と出会い、食べ物を作る過程や生産者の思いを消費者に伝える必要性を感じた。そして2013年、NPO法人東北開墾を立ち上げ、食べ物付き情報誌「東北食べる通信」を創刊。生産者のストーリーと生産物をセットで届けるという取り組みが注目を集め、東北以外の地域にも広がっていった。

ここで獲得した生産者とのネットワーク、ノウハウを生かし、2016年に開始したのが、生産者と消費者を直接つなぐスマホアプリ「ポケットマルシェ」。「情報誌は月1回のサブスクリプションです。より日常の食シーンの中に入っていきたいと、スマホアプリによるサービスを開始しました」と高橋氏は説明する。

スマホアプリ「ポケットマルシェ」を介して、農水産物を購入したり、生産者に感想を伝えたりすることが可能

ポケットマルシェは2020年6月現在、2800の生産者と、18万人の消費者が登録するサービスに成長した。野菜や果物、魚、肉などの食材に加え、2020年5月には新型コロナウイルス感染症の影響で消費量が激減した花きの取り扱いも開始している。食材の注文は、2020年2月と比べ、5月は約20倍に増加した。

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