2020年8月号
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清潔・安全の新ビジネス

ロボット、VRの世界的権威が語る 遠隔技術で何が実現するのか

舘 暲(東京大学 名誉教授)

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新型コロナウイルスと共存する社会では、人との接触を減らすことが求められる。そこで注目されるのが、物理的に離れた場所に実質的に存在し、行動できる技術。2020年代には、より広い職種でリモート勤務を可能にする大きな飛躍が期待される。

大きな進展への期待

1980年に出版された未来学者、アルビン・トフラーの著書「第三の波」は、情報革命の結果、新しい生活様式が可能になるとし、在宅勤務を提唱して世界の注目を集めた。それから40年が経過した現在、日本でもついにこれが現実のものになった。

「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務が広く行われるようになったのは大きな変化です。しかし、皆でやってみて分かったのは、リモートワークができる仕事とできない仕事があるということです。いわゆるホワイトカラーの仕事は遠隔でも可能。しかし、社会のインフラを支える仕事、エッセンシャルワークは取り残されています」。

ロボット学、バーチャルリアリティ(VR)が専門の東京大学名誉教授、舘暲(たち・すすむ)氏はこう指摘する。様々な仕事の中でも人間の身体性を伴わない仕事は、以前から遠隔で行われることが多かった。しかし、医療や福祉、水道、電気、コンビニ、スーパーマーケット、建設、土木など、社会を根元で支える仕事の多くはその場にいる必要があり、遠隔勤務は難しい。

舘 暲(東京大学名誉教授、工学博士)

この問題は、身体を持ったロボットを自分の分身として働かせるようにできれば解決される。それを可能にするのが、テレイグジスタンス(telexistence、遠隔存在)だ。テレイグジスタンスとは、人間が物理的に存在する場所とは異なる場所で実質的に存在し、そこで自在に行動するという存在拡張の概念だ。また、それを可能にする技術体系のことも指す。

テレイグジスタンスを使うと、自分自身の分身ロボットであるアバターを使って離れた場所に存在できる。さらにバーチャルヒューマンをアバターとして、コンピューターが生み出した情報空間に存在したり、さらには情報空間を介して実空間に存在することも可能になる。

米国の非営利組織「Xプライズ(XPRIZE)財団」は2016 年10 月、新たな賞金ベースのテーマを選ぶことを目的に「Visioneers Summit」を開催した。その際、舘教授は財団から「世界で最も進んでいるアバターのテレサファイブ(TELESAR V)を、サミットで実演してほしい」と依頼され、プレゼンテーションした。テレサファイブは舘氏の研究グループが開発した、テレイグジスタンスの遠隔操作ロボットだ。

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