「清潔さ」を数値で管理 AI清掃ロボットの導入が加速

AI清掃ロボット「Whiz」を開発、販売するソフトバンクロボティクスは、清潔さの数値化や科学的数値管理を可能にするための取り組みを進めている。医療施設と同水準の清潔さや消毒は、コロナ危機を機に広く求められるようになっている。

新型コロナウイルス対策が喫緊の課題となる中、ソフトバンクロボティクスは、生活インフラ6業種を対象とする緊急支援で、AI(人工知能)清掃ロボット「Whiz」(ウィズ)と「施設清潔度診断サービス」の無償提供に着手した。対象とした6業種は、①医療施設や隔離施設、②介護施設、③官公庁や金融機関、④スーパーマーケットやドラッグストアなどの小売、⑤駅や空港、⑥工場や物流だ。当初6月までの予定だったが、要望が多いため、申込期間を延長することを決めている。

Whizは自律走行する業務用ロボット掃除機。人と出会った際には停止するなど、安全性にも配慮

人手不足解消のための清掃ロボ

Whizは自律走行が可能な乾式バキュームクリーナーで、主にオフィスや商業施設の床清掃を目的に開発された。人が一度、Whizを使って掃除を行えば、2度目以降はスタートボタンを押すだけで自動清掃ができる。人が通常の業務用掃除機を使って実施する清掃では除去が難しかった「隠れダスト」を、均一な全面清掃によって除去できるのが特長。隠れダストとは塵や花粉、カビ、細菌など、床に存在して空気中に舞い上がりやすいものの、肉眼では見えにくいゴミのことだ。

Whizが開発された背景には、国内の清掃分野における人手不足の深刻化がある。この課題を解決するために、低速の自動運転技術とAIを組み合わせ、人とともに働けるロボットとして構想したのがWhizだ。

人手不足解消を目的に、清掃の現場にこのロボットを導入することで、多くの人が目をそらしていた現実が可視化された。それは、多くの人が出入りする大型施設の床の汚れだ。ごみを集める内蔵紙パックがいっぱいになる速度が、開発当初想定していたよりも早かったのだ。そこでソフトバンクロボティクスでは、Whizを活用した清潔さの数値化や、科学的数値管理へのシフトに着手した。

「掃除や、それによって清潔になったかどうかという判断は従来、非科学的、非数値的に行われてきました。私たちはこの状況を変え、高いレベルの清潔さを実現しようとしています」とソフトバンクロボティクスChief Business Offi cerの吉田健一氏は説明する。

吉田 健一 ソフトバンクロボティクス Chief Business Officer

清潔さに関しては、カビや細菌などの有機物を測定できるATP試験機を使って測定を行うと、数値で把握できる。人間が日々掃除を行っている床の場合、5000~10000程度という高めの数値が出る。これに対し、Whizが清掃した後の床では、数値が半分程度に低下するという。

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