移住者がブルワリー設立 地域資源が可能にする「起業家的生き方」

ビールの原料となるホップ作付面積において国内トップの岩手県。ホップを地域資源としたまちづくりを進める遠野市に、移住者が立ち上げたブルワリー・遠野醸造がある。代表取締役の袴田大輔氏は、域内で多様なプレーヤーが共創し価値を生み出す、遠野の未来を描く。

袴田 大輔(遠野醸造 代表取締役)

地元で"飲み支えられる"
ビールづくりを基本に

遠野醸造・代表取締役の袴田大輔氏はアパレル業界出身。店舗責任者を務め新店舗立ち上げなどにも携わったが、30歳を前に「もともと好きだったビールを仕事にしたい」と地域での事業・コミュニティ創出を目指すプロジェクト・Next Commons Lab遠野に参画。遠野へ移住し、2017年に遠野醸造を立ち上げた。出身ではない遠野を選んだ理由は「自分がビールをつくるなら原材料の近くで、生産者とコミュニケーションをとりながらつくりたいと思っていた」こと、「遠野にはビールにまつわるプレーヤーがたくさんいた」ことを挙げる。

大のビール好きで、移住前にビアバーや醸造所での業務を経験、醸造家育成のプログラムにも参加していたとはいえ、未経験、かつ移住者としてビール醸造を始めた袴田氏。すでにクラフトビールを製造していた地場の酒蔵・上閉伊酒造や大手ビールメーカーのキリン、また行政やホップ農家など地域の協力があったからこそ起業が実現したという。2018年には、できたてのクラフトビールを提供する場として〈遠野醸造TAPROOM〉を開店。創業から4期目を迎え、「ようやく足場が固まってきた」と語る。常連客が増え、全国的な認知度も上がってきた。しかし商圏のメインはあくまでも岩手県内だという。

2018年5月にオープンした〈遠野醸造TAPROOM〉。遠野駅から約3分のところにある酒店を改装した店内は、ぬくもりを感じる設え(左)。店内奥では醸造タンクなどが見られる(右)

「"一番美味しい状態で、この場所で飲んでもらう"というのが事業の根幹で、売上の8~9割はタップルームが占めています。自分たちの手の届く範囲で、地元の人々に飲み支えてもらうことを基本にしています」

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