2020年4月号
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食と料理のイノベーション

大学発・水産ベンチャーが陸上養殖 世界に勝てる産業を創る

留目 真伸(SUNDRED 代表取締役)、上野 賢(Smolt 代表取締役社長)

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宮崎大学発のベンチャーで循環型サクラマスの養殖に取り組むSmolt。2019年12月9日、SUNDREDより事業支援を受ける契約を締結したことを発表した。陸上養殖産業を新産業の要として育て、漁業の持続的発展と海外市場でも勝てる商品づくりを目指す。

留目 真伸(SUNDRED 代表取締役)(右) 上野 賢(Smolt 代表取締役)(左)

持続可能な養殖生産で
水産業の復活をバックアップ

宮崎大学では2012年から地元の養殖業者と協力してサクラマスの海水面を介した循環型の陸上養殖に関する技術開発に取り組んできた。12~3月に五ヶ瀬町の淡水養殖施設でヤマメの稚魚を生産・育成した後、延岡市の海水養殖の生簀で短期間育成すると、効率的にサクラマスが成育できるのだという。

「漁業は宮崎県にとって重要な産業ですが、1980年頃をピークとして少しずつ衰退傾向にありました。ブリやカンパチの養殖が盛んですが、冬に水温が20度を下回ってくると成育に適さないため、生け簀が空いて出荷も止まります。そこで、より低い温度帯でも成育できる魚を養殖して“すきま漁業”が可能になれば、大学での研究で地域活性化に一役買えると考えました」とSmoltの上野賢氏は語る。同社は2019年5月に誕生した、宮崎大学発としては8社目のベンチャーだ。

この循環型陸上養殖事業は、2018年に当時農学部の4年生だった上野氏が学内のビジネスプランコンテストに応募したことを契機に生まれた。もともと淡水魚であるヤマメの体内血液は塩分濃度1%前後に保たれているが、塩分濃度約3.4%の海水にさらされることで浸透圧の変化に適応しようとホルモンを分泌する。それが魚にとって成育を促す信号となり、暖かい環境で食餌が増えることとも相まって体重が10倍にも増えるという。2019年4月には延岡市沖で海面養殖したサクラマスを試験出荷した。サクラマス特有の桜色でサッパリとした身は非常に風味がよく、再び秋に淡水に戻した親魚が産む黄金色のイクラと共に、ノルウェー産などにも対抗できる高付加価値商品としての可能性を秘めている。

サクラマスの成長メカニズム(模式図)

現在も、水温や塩分濃度と成育したサクラマスの体長や体重などのデータを収集して個体のポテンシャルを客観的に見定めながら、遺伝子解析によってホルモンの仕組みをコントロールし、より環境適応力や成育効率の高い品種へ改良できるよう研究を続けている。

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