2018年4月号「SDGs×イノベーション」完売!
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地元・青森県弘前市を拠点に、平均寿命が全国ワーストとなった県の特徴を逆手に取った「短命県ツアー」など、ユニークな旅行商品を次々に生んできた西谷雷佐氏。2018年からは仙台市に拠点を移し、オール東北でインバウンドの活性化に力を注ぐ。
西谷氏は、その土地ならではの魅力を体験する、独創的な旅行商品を次々に開発。写真は、「歌碑の前で津軽海峡冬景色を歌うツアー」(左上)、「手ぶらで観桜会」(右上)、「刀剣ツアー」(左下)、「大人の本気のそり遊びツアー」(右下)
合同会社西谷(屋号:たびすけ)の西谷雷佐代表は米国・ミネソタ州立大を卒業後、地元旅行代理店に入社し、添乗員として世界中を巡った。2012年には弘前市で、東北では当時ほとんど例の無かった「着地型観光」に特化した旅行代理店「たびすけ」を創業。地元の人がその土地ならではの魅力を紹介し観光客に体感してもらう、独創的な旅行商品を次々に開発した。
西谷 雷佐(たびすけ 合同会社西谷 代表、インアウトバウンド仙台・松島 代表取締役)
例えば、住民にしか知られていなかったスナックやバーなど、路地裏をめぐりながら地域のディープな魅力を掘り起こし、生活者目線で観光客に弘前の魅力を体感してもらうことに成功した。弘前観光の定番である弘前公園でのお花見も、地元の人と津軽の郷土料理を味わいながら楽しむ「手ぶらで観桜会」がヒットし、参加者は実施初年度から約5倍に増えている。
また、「短命県体験ツアー 青森県がお前をKILL」は、朝から酒蔵で日本酒を堪能するところから始まり、味の濃い食事、宴会、そして夜食はカップ麺。県民の日常生活をユーモラスに誇張して体験してもらう濃厚なツアーに仕立て上げた。これまでネガティブに捉えられてきた地域の個性までも、魅力として再評価することで観光客を呼び込み、楽しませてきたのである。
「短命県体験ツアー 青森県がお前をKILL」は、朝から酒蔵で日本酒を堪能するのをはじめ、味の濃い食事や宴会、そして夜食はカップ麺など、県民の“日常”を体験する
西谷代表が「その土地ならでは」の旅行商品に情熱を傾ける原点は、旅行代理店時代、東京駅で目にした弘前のツアーパンフレットだ。そこに書かれていた弘前の魅力は弘前公園など、通年で決まりきった同じコースだった。
「いやいや、他にいいモノ、いいところがたくさんあるだろうと。その時、多くの旅行商品は地元をよく知らないよその人がつくっていることを思い知らされたんです」
地元の目線による暮らしに根ざした旅行商品のほうが、よりその土地の魅力が伝わり、観光客の心を引きつけるに違いない。実践を積み重ねるうちに、その思いは確信へと変わっていった。
ユニークなツアー企画の根本にあるのは「自分のやりたいこと」を実現させたいという思いだ。ただ、そこには独自の方法論がある。
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