2019年8月号
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地域特集 大分県

別府に100人超のクリエイターが移住 持続するアートプロジェクト

山出 淳也(BEPPU PROJECT 代表理事)

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全国各地で取り組まれている、アートをベースにした地域づくり。自身がアーティストとして国内外を舞台に活動していた山出淳也代表理事が、2005年に別府市に設立したBEPPU PROJECTはその先駆けたる存在だ。

山出 淳也 特定非営利活動法人 BEPPU PROJECT 代表理事

手掛けた事業は1000件以上

BEPPU PROJECTの代表的な事業にはまず、過去3回開催された別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」がある。国内外から100人以上のアーティストが参加し、別府のためだけに制作した新作を展示。美術はもちろんダンスや音楽など「視覚的」に楽しめるものはすべて含まれる斬新な芸術祭として話題を集めた。

「混浴温泉世界」終了後に始まった「in BEPPU」は、「混浴温泉世界」とは対照的に、1回の開催で1人のアーティストが、大規模なアート作品を披露する。そのほか、シンポジウム等の開催、情報誌発刊、地域ブランド商品の企画開発、国や県との様々な協働プロジェクトなど、1000件を超える事業を手掛けてきた。

1人のアーティストを招待する「in BEPPU」。2018年には、英国の彫刻家アニッシュ・カプーアを招いた。

これらの事業は、大きく6つに分けられる。まずは、芸術祭開催など、文化芸術振興に関わる事業。アーティストとともに学校を訪問し、子どもたちを対象にしたアート体験の場も創出してきた。そんな活動をきっかけに別府に興味を持った人の移住・定住を促進する事業が2つ目だ。BEPPU PROJECTが運営する、戦後すぐに建てられた「清島アパート」は今、クリエイターらのスタジオ兼住まいとして活用されている。3つ目は、福祉・障害者芸術に関わる事業。施設等へアーティストと一緒に出向き、障害がある人たちの芸術・表現活動や、社会とつながる活動を支える。そして4つ目が温泉や食を発信する観光振興。5つ目は、大分県産品のブランディングや六次産業化に関わる事業。6つ目が経済活性や産業振興に関わる事業である。

清島アパートに居住するアーティストを公募し、様々な芸術活動の拠点を提供している

この6つは、一見別々の目的や内容を持っているようで、国の管轄省庁も違うが、すべてがつながっている。「例えば他県から来た人にはアートだけでなく、温泉も楽しんでほしい。お土産も買ってもらって、地元にお金を落としてほしい。その中に住みたいという人が出てきたら受け皿も必要です。私たちは、6つをつなぐ横串なんです」と山出代表。「私たちの存在は、地域を前進させ、より豊かにするための、クリエイティブなハブとも言えます」。アートNPOというよりは、ソーシャルベンチャーだと自らを評する。

「違い」は世界を豊かにする

山出代表がBEPPU PROJECTを設立したきっかけは、地域住民らが観光客向けのまち歩きなど、まちづくりに取り組んでいるという話を聞き、彼らに会いたいと感じたことだ。子どもの頃に憧れていた別府は、既に往時の賑わいを無くしつつあった。そんな中で、別府のまちづくりに共感した山出代表は、地元の人たちにアートに親しんでもらいたいと芸術祭を企画。準備を進めていくうちに、観光客集客の一助になれば、という当初の気持ちに少しずつ変化が生まれたという。

「芸術祭は、目標ではあるけれど、目的ではないと。芸術祭の目的は、いろんな可能性が生まれる場を創ることだという意識が高くなっていきました」。

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