ブランドは社員の「自社理解」で向上する Rettyの戦略広報

武田 和也(Retty 代表取締役)

「Retty」は2011年にスタートしたグルメサイトで、実名の口コミが検索 できるところが特徴です。

当社の設立は2010年。大学卒業後、広告会社で営業を経験し起業のため3年で退職しました。退職後は、市場を見極め、どんな事業に取り組むかを考えようと1年間サンフランシスコに滞在しました。様々な企業や人に出会う中で、せっかく起業するなら日本が世界に比べてリードしている領域でイノベーションを起こしたいと考えました。そして、「食」の領域で「Retty」をスタートします。

当初からPRには注力していました。2人でスタートした会社ということもあり、リリースを自分で書いていた時期もあります。

「勢いがある」空気づくり

サービスの広報はもちろん、特に大切にしているのはコーポレートの広報です。2011年に初めて資金調達をしたときには当時にしては高額の2,200万円を調達したため、思った以上にリリースへの反響があり、特に採用でエントリーが増えました。「PRは人材戦略にも大きな影響を与えるんだ」と肌で感じました。

成長フェーズのスタートアップにとって、優秀な人材の確保は重要な課題です。「あの会社は勢いがあるな」という空気をつくることが重要になります。自社からの発信もそうですし、メディアに取り上げてもらえば、より説得力も高まります。採用候補者と話すときは自社についての記事などを見せながら説明し、理解を深めてもらえるように工夫しています。

インターナルコミュニケーションにも注力しています。当社では2年に1度くらいの頻度で会社のバリューをアップデートしており、社員全員が決定に関わります。トップが一方的に新しいバリューを伝えたところで、社員がそれを自分の行動に落とし込むことは難しい。結果というよりは、皆でアップデートしていくプロセス自体に大きな意味があると思っています。

部署内外の社員同士のコミュニケーション活性化のために、飲料代やランチに行くタクシー代のサポートなどユニークな福利厚生もあります。グルメサイトの仕事に直結する上、社員からの反響もいいです。

メディアに取り上げていただくこともあり、会社自体のPRにもなります。多くの人に興味を持ってもらうためには、いかに自社の特徴を様々な視点で切り取るかが重要だと思います。

2018年末には月間ユーザー数が4,000万人を突破しました。これまでは口コミを増やすフェーズでしたが、今後は利便性の向上や閲覧者の拡大などのフェーズへ移行させます。引き続きインターナルコミュニケーションに注力しながら、自社のブランドを確立していきたいです。

Rettyの福利厚生のひとつ「ランチタクシー」。お店の新規開拓と、社員のコミュニケーション活性化に一役買っている。

 

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