西粟倉の「百年の森林」構想 30社超のローカルベンチャーが勃興

西粟倉村は、基幹産業の持続性が危ぶまれた山間地だが大局的な構想で人口流入を促し、多くのローカル・ベンチャーを輩出する。本フォーラムでは、西粟倉村長が登壇し、構想と未来展望を語った。

青木 秀樹(西粟倉村長)

「百年の森林」への共感で
ローカルベンチャーが勃興

岡山県の山間・鳥取県との県境近くに位置する西粟倉村は、95%が山林、そのうち85%が人工林を占める。しかし、樹齢60年を迎える森林は、収穫期にある現在、ほぼ植林当時の価格へ逆行。そうなると生育に掛けた60年間の経費と収穫に掛かる現在の経費を販売収入で回収することは不可能、つまり生業として成り立たなくなってしまう。とは言え、地域資源の大部分は山林であり、かつての栄華を諦めきれずにいた。こういった経緯もあり、西粟倉村は平成の大合併に際して、合併を選択せず独自の村づくりの道を歩んできた。日本政府の地方創生政策にやや先駆けた人口流入を促す施策が功を奏した。総人口約1500人ほどのうち、ここ10年で、約1割がIターン、子どもに占めるIターン者家族の割合は、中学校が15%、小学校では20%、幼稚園では33%となっている。

村への人口流入が増えた背景には、基幹産業である林業が成り立たないという事実を直視しつつ、「『百年の森林(もり)構想』で、本来あるべき手入れをして林業を存続させよう」というメッセージが、都会に住む若年層の共感を呼んだ。様々な形での協力を得て、現在では30超のローカル・ベンチャーが生まれるに到った。

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