神戸市のアーバンイノベーション 実験都市が人を集める

先端的なICT技術を採り入れ、行政サービスの向上に取り組む――神戸市は、大都市が直面する、様々な地域課題の解決に取り組んでいる。本フォーラムでは、神戸市長が登壇し、まちづくりの未来を語った。

久元 喜造(神戸市長)

神戸市は六甲山の麓に広がり、関西経済都市圏の西端を形成する人口約152万の都市だ。この六甲山は比較的低い山ながら遭難者が少なくなく、防災が社会的な課題となっている。同市ではNTT東日本のクラウド型カメラ「ギガらくカメラ」を導入し、いち早い被災の検知に努めている。

また、楽天グループが展開する電子図書館「Rakuten OverDrive」も2018年6月から活用が始まっている。インターネット上で書籍の貸し借りができ、特に英語図書では、読み上げ機能が小学校でも導入される英語の授業などでの活用に期待されている。

社会実験で進める共創

神戸市ではUrban Innovation Kobeと銘打ち、地域・社会・行政課題を解決するために、行政との課題共有・チームビルディング・メンタリング・実証フィールドの提供を含む、約4カ月間の共同開発サポートを行っている。その特徴は、行政と企業が受発注という垂直的関係から水平的関係を持つことにある。「困りごと」としての行政課題を提示し、「協働」で解決に当たるベンチャー企業を募集し、最も良いものを社会実験する。

「例えば、過去には市内のイベント告知として、紙のチラシが配布されていました。これを電子化し、区役所の案内や街中イベントをタブレットで配信すれば、より有効で、その人がその場で必要とする情報伝達につながります」。市役所の正面玄関には、スマートフォンの電源をチャージできるデジタルサイネージを置く。端末をチャージするとサイネージに必要情報が投影されるようになる。これを位置情報とリンクさせ、図書館や福祉施設などの様々な場所に配置すると、それぞれの場所にふさわしい情報提供が可能になる。

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