「草木塔の精神」と粘り強さ 世界に通じる山形の伝統
人口減少率や高齢化率の高さなど課題の多い山形県だが、実は大きなポテンシャルを有している。そのカギを握るのが同県伝統の「草木塔の精神」とそこから導かれる商哲学・商倫理であり、山形県の商い・モノづくりのフィロソフィーとして全世界に誇り得るものだ。
地域の特性を活かして
世界に開かれた交流拠点
山形県は人口減少率と高齢化率の高さでは全国屈指であり、また県商業の中心をなす山形市など村山地域は、交通網の発達の結果として今や仙台商圏に併呑されてしまっている。
たしかに課題は大きい。しかし、やり方次第では大化けし得る大きなポテンシャルを有していることもたしかだ。
日本がまだ国際化に程遠かった昭和の時代、アルペン王国オーストリアの国家検定資格を有するオーストリア人&日本人のスキー教師たちによる講習が毎シーズン国内3か所程度で開催されていたが、そのひとつが山形蔵王であった。1960~70年代、たびたび蔵王に赴きトレーニングを受けた筆者にとって、山形県こそは「地域の特性を活かして世界に開かれた先進的な交流拠点」であった。
蔵王は今や樹氷の神秘的な美しさも相俟って訪日外国人観光客に人気が高く、山形県自体、インバウンドの伸び率では昨年全国第3位(2018年観光庁速報値)に躍り出ている。
食を中心とした地域資源は豊饒だ。さくらんぼやラ・フランス、米沢牛などは圧倒的な全国ブランドだし、肉のプロから評価の高い「(総称)山形牛」もピカイチの存在である。ワイン&スパークリングワインも素晴らしい。
これらを挙げただけでもポテンシャルの大きさを感じるが、筆者がそれ以上に評価するものがある。それは山形県伝統の自然観やそこから導かれる商哲学・商倫理である。
「おしん」と
「草木塔の精神」の関係性
1983~84年に放映されたNHK連続テレビ小説「おしん」(平均視聴率52.6%)の「丁稚奉公に出るおしんを見送る最上川筏下りのシーン」は、全297話に及んだ同作品の中で最も印象的なシーンとされている。
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