2019年3月号
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事業承継でベンチャー魂

アトツギの創業は、いかにして可能になるのか 事業承継の経営学

落合 康裕(静岡県立大学大学院 経営情報イノベーション研究科 准教授)

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後継者による事業創出、いわゆる「第二創業」は、どのようにして可能になるのか。事業承継プロセスの中で、後継者の能動性を発揮させ、イノベーションを起こすためのマネジメントについて、静岡県立大学大学院・落合康裕准教授に話を聞いた。

落合 康裕(静岡県立大学大学院 経営情報イノベーション研究科 准教授)

事業承継の成否を分けるもの

私の調査によると、2代目よりも3代目、3代目よりも4代目と、代が進めば進むほど、後継者の能動性は失われる傾向があります。それはなぜか。創業者は「ヒト、モノ、カネ、情報」などの経営資源をゼロから築いてきましたが、後継者は、そうした経営資源が既に存在するところからスタートします。

しかし若い後継者が、それらの経営資源をすぐに利用できるとは限りません。「モノ、カネ、情報」は利用可能かもしれませんが、「ヒト」つまり先代世代からの従業員や取引先の社員は、積極的に協力してくれるとは限らず、後継者はリーダーシップを発揮しづらい状況に置かれます。

従業員にとっては、将来、自分たちの上に立つ人ですから、一応は認める。生まれながらの社長候補である後継者は「生得的地位」を得ているわけですが、入社してすぐの時期は仕事上の実績が乏しく、周囲からの支持や信頼が薄いため「獲得的地位」は得ていません。この生得的地位と獲得的地位のギャップが、後継者の能動的行動をとりづらくさせます。

後継者にとって、伝統の存在や先代世代との仕事上の距離感があることは「制約」となります。一方、後継者ならではの「自律」もあります。社長候補として将来のキャリアが保証されているわけですから、ある意味で我を通しやすく、自分が思い描いた計画をその通りに実行しやすい(図参照)。

後継者の「制約」と「自律」という、相反するものをどうマネジメントするか。それが、事業承継の成否に大きく影響します。

図 後継者は「制約」と「自律」のジレンマの状況に置かれる

出典:落合康裕著『事業承継のジレンマ』

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