2019年3月号
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イノベーションと産業クラスター

アマゾン本社の立地戦略に見る「イノベーションの理論」

清成 忠男(事業構想大学院大学顧問、法政大学元総長)、吉川 智教(早稲田大学名誉教授)

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100年以上前に、イノベーションの理論を研究したシュンペーター。それは、現在の企業にも適用することができる。新本社を発表したアマゾンの戦略は、特定地域への集積が、「再結合」によるイノベーションの可能性を広げることを示している。

イノベーションを
最初に研究したシュンペーター

イノベーションを最初に研究した経済学者は、ジョゼフ・シュンペーターです。彼は1883年にオーストリア・ハンガリー帝国のモラヴィアで生まれ、グラーツ大学、ボン大学、ハーバード大学等で教授を務め、オーストリアの大蔵大臣にもなった経済学者です。彼の有名な著書に、1912年に発表した『経済発展の理論』があります。

その本によると、隣の国で戦争があったり、天候が良いので作物が豊富に出来たりすることで景気は上向き、経済が発展します。しかし、そうした外的な要因だけでなく、経済は本来、内在的な要因で発展しなければいけません。その内在的な発展が、イノベーションによる経済発展です。

そして、イノベーションの源泉となるのが「新結合」です。新結合とは、新しい要素との結合だけでなく、既存の要素同士の組み合わせでもよく、その結合の仕方が新しいことが必要です。

彼は、新結合を5分類しています。第1分類の「新製品」の中には「新しい品質の製品」も含まれます。第2分類は「新しい生産方法」、第3分類は「新しい販路」、第4分類は「新しい供給源・原料の開発」、第5分類は「独占的地位の形成」や逆に「独占の打破」です。

表1は、シュンペーターの5分類とその例を表示しました。

表1 シュンペーターの「新結合」の分類と最近の例

出典:著者作成

 

産業クラスターにおける再結合

「再結合(Recombination)」とは、シュンペーターが定義した新結合の一つであり、以前から存在していた要素と新しい要素との結合です。

再結合は、同一の産業クラスター内で過去に新結合が起き、それがイノベーションをもたらしていた場合、その「既存の要素(過去の新結合)」が再び別の「新しい要素」と結合することで起こります。「既存の要素」で一度成功しているため、「新しい要素」との再結合は成功する可能性が高くなります。

再結合の典型的なケースは、成功している産業クラスターにしばしば見ることが出来ます。成功している産業クラスターでは、新結合によって既にいくつかのイノベーションが起きています。そのため、再結合によって再びイノベーションが起きる確率はより高くなります。

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