ボブ・グリーンバーグCEO 型にはまらないR/GA経営の手腕

技術と既存ビジネスを組み合わせるキャンペーンを仕掛け、広告会社の枠を超えて活躍するR/GA。インタラクティブ広告から、新ビジネスの共創まで、型にはまらないビジネスを展開する。世界各国で様々な才能を持つ人を取り込んでグローバル化を図り、日本でも活動を本格化させている。

ボブ・グリーンバーグ R/GAファウンダー・CEO

R/GAは米国の有名広告会社だ。設立は1977年で、当初は映画制作を行っていた。クリエイティブにいち早くコンピュータを取り入れ、「エイリアン」や「ゴーストバスターズ」など、1980年代の人気映画の特殊効果などにも貢献している。

同社の特徴は、およそ9年ごとに、ビジネスモデルを大きく組み替えてきた点だ。同社創業者でCEOのボブ・グリーンバーグ氏に話を聞いた。

頻繁な変化を恐れない企業風土

同社創業時の事業である、CGを用いたCMや写真広告の制作事業は順調だった。現在のコンピュータ生成画像(CGI)ビジネスの興隆を見ると、そのまま事業を継続していても成功していたのではないかと思える。しかし同社は、インターネットの普及に着目し、1995年にネット広告分野に参入するという道を選んだ。

「皆がコンピュータを使える時代が来るので、競争に勝つためにも変わらなければ、と思いました」とグリーンバーグ氏は振り返る。2004年からは、モバイル広告やソーシャルメディアを通じた広告、ブランド構築などにも手を広げ、グローバル展開を開始した。2013年以降は、広告制作にとどまらない、クライアント企業との協業によるプロダクト開発などを手掛けるようになっている。

「近年はクライアントのビジネスモデルの変化が速いこともあり、R/GAのビジネスモデルも絶え間なく変化しています」と同氏は言う。

現在、同社のビジネスは、広告事業、プロダクト・サービス事業、ベンチャー育成・投資で構成されている。専門人材を確保することが難しいスタートアップ向けに、各種のコンサルティングも提供する。顧客と共創したアイデアを自社内でサービスや製品に結び付け、それらの広報・宣伝までを一貫して実施できる点に同社の強みがある。

「R/GAのプロジェクトでは、顧客のビジネスを大きく変えます。具体的には、企業組織のデザイン変更や、新しい収益モデルの構築などを行います。このため、企業の社長や役員クラスといった経営者層が直接のクライアントとなります」とグリーンバーグ氏は語った。同社の顧客でプロジェクトが成功した会社では、経営層がデジタル環境の変化を理解していたり、ICTやSNSに対する投資の重要性を把握している。これらの要素は、企業がドラスティックな変化を受け入れるためには必要だという。

広告会社の枠を超える実績

R/GAが過去に手掛けたプロジェクトは、多くの話題を集め、国際的な広告賞を受賞している。2006年に始まった「Nike+」は、ランニングデータを取得し、仲間とシェアするプラットフォーム。ランナーを増やし、ランニングを継続させることで、Nikeのウェアやランニングシューズの長期的な拡販につなげることを狙ったものだ。人々のネットワークを作り、ライフスタイルを拡散するタイプの宣伝の先鞭をつけるものとなった。

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