規格外野菜の新しい使い方 フードロス削減へ、新しい流通を起こす

PRだけの啓発をしていても、なかなか世の中は変わらない――。日本和菜はリバースプロジェクトの協力も得て、規格外野菜を有効活用する取り組みを推進。それは、フードロスの削減に向けて、新たな流通システムを開発する試みでもある。

大竹 康弘(日本和菜 代表理事、東京促成青果 代表取締役社長)

2017年2月に開催された「高知家ビジネスプランコンテスト」(主催:高知県)のイノベーション部門において、最優秀賞に選ばれたのが一般社団法人日本和菜の『食の循環プロジェクト』。市場に流通しない規格外野菜を有効活用することで、フードロスの削減を目指すプロジェクトだ。

規格外野菜はカタチが悪いだけで、味や品質、鮮度には問題ない。しかし、そうした野菜は消費者に受け入れられず、一般のスーパーなどでは扱われていない。

日本和菜は規格外野菜を使ったメニュー等を企画し、「使い切る」ための用途を提案。それは、「もったいない」という意識を啓発するだけでなく、その先に新たな流通を起こす試みでもある。

リバースプロジェクトが協力

日本和菜の代表理事、大竹康弘氏は東京促成青果の社長でもある。同社は、築地に本社を置く青果の流通を手掛ける会社だ。

大竹代表は、以前から規格外野菜やフードロスへの問題意識を抱いていた。

「自社の事業として規格外野菜を扱いたくても、いろいろな難しさがあります。極端に言えば、規格外野菜でも半値にすればスーパーで売れるかもしれませんが、それにより規格品の野菜の売上げが落ちて、全体の相場が下がってしまう恐れがあります。それでも、自分に何かできることはないかと考えていました」

日本和菜を設立するに至ったのは、俳優の伊勢谷友介氏が代表を務め、様々な社会課題をクリエイティブな視点で解決するリバースプロジェクトのメンバーとの出会いがきっかけだった。

大竹代表は、龜石太夏匡氏(リバースプロジェクト共同代表)、関根優作氏(リバースプロジェクト事業運営責任者)らの協力を得て、2016年2月に日本和菜を設立。龜石氏、関根氏は日本和菜にもメンバーとして参画している。

前述のように、規格外野菜を通常の流通に乗せてスーパーなどで売るのは難しい。そこで注目したのが「社員食堂」だ。協力企業を開拓し、その社員食堂で規格外野菜を使った料理の試食会などを行うことで、フードロスの削減・規格外野菜の普及促進に向けたプロモーションを行うことにしたのである。

日本和菜は、ホンダや味の素など大手の社員食堂でも活動を行ってきた。

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