自動運転がもたらす変革 モビリティのサービス化で新市場
世界各国で研究開発が進む、自動運転技術。近い将来に実用化される自動運転車は、社会やライフスタイルにどのような変化をもたらすのか。
いま、自動車業界では世界的なメーカーや大手IT企業がこぞって自動運転車の研究開発を進めている。その実用化や普及の時期については意見が分かれるものの、政府が6月に公表した「官民ITS構想・ロードマップ2018」では、"2020年までの高速道路での準自動パイロットの市場化及び無人自動運転移動サービスの実現を図る"と記されている。
その近未来を見据えて、日本でもさまざまな取り組みが行われている。
大手IT企業のDeNAは、オートモーティブ事業を次なる経営の柱のひとつと位置づけ、ここ数年、積極的な投資と研究開発を行ってきた。自動運転技術では日産自動車と提携しており、今年3月には「Easy Ride」と称する無人運転可能な車両を使ったライドシェアサービスの実証実験を実施した。
4月には、ヤマト運輸と共同で自動運転車両による宅配便配送の実証実験を実施。ドライバーが乗っていない完全無人状態の車両の走行、ドライバーがハンドルから手を離した状態で運転席に着座した状態での走行などを行った。同じく4月には、自動運転バス「Robot Shuttle」の試乗イベントも開催。ほかにも、CtoCカーシェアサービス「Anyca」、AIによる需要予測システムを搭載したタクシー配車アプリ「タクベル」を展開し、オートモーティブ事業での存在感を高めている。
これらの事業をけん引するDeNAオートモーティブ事業本部長の中島宏氏は、自動車の情報端末化(コネクテッドカーの普及や自動運転車の発展)によるライフスタイル革命を「モータリゼーション2.0」と表現する。
携帯電話と自動車、進化の共通点
中島氏は、「モータリゼーション2.0」は携帯電話の進化と通じていると話す。
「1990年代、携帯電話がインターネットに"コネクテッド"されました。E-mail機能が搭載され、さらにi-modeという世界が生まれ、端末性能と通信性能が上がり、クラウドで処理できることが増えていった。これによってモバイルコンテンツ産業のマーケットが拡大し、音楽・ゲーム・流通小売などの周辺産業にも構造変化が迫られました。一方、自動車はようやくコネクテッドが始まったところです」
今、スマートフォンを「電話」と捉えている人はほとんどいないだろう。同じように、自動車も単なる「移動手段」ではなく、「サービスプラットフォーム」として認識されるようになると中島氏は予想する。すなわち、Mobility as a Service(MaaS)の時代の幕開けである。
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