大ヒット生命保険「1UP」 商品説明なしのCMでブランドを醸成

契約件数90万件を突破するヒットとなった住友生命の生活保険「1UP(ワンアップ)」。そのテレビCMに保険の説明は一切登場しない。強い商品ブランドで企業ブランドの価値向上をめざす住友生命の取組を、ブランドコミュニケーション部長の藤本宏樹氏に聞いた。

藤本 宏樹 (住友生命保険相互会社 ブランドコミュニケーション部長)

ヒットを生んだ
「伝わる」コミュニケーション

住友生命は2011年から新しいブランド戦略に取り組んでいる。その中心となる組織がブランドコミュニケーション部だ。部ではブランド戦略の柱として次の3つを掲げてリブランディングに取り組んでいる。①「住友生命ならでは」の先進の価値づくり。②「自分事」にする社内での行動変革(インナーブランディング)。③「住友生命らしさ」を伝える社外へのイメージ戦略(アウターブランディング)。

当初のイメージ戦略では、住友生命らしさをしっかり伝えようと、ブランドビジョンを訴えるテレビCMを展開。「しかし、この時は思うような成果は出ませんでした」と話すのはブランドコミュニケーション部長の藤本宏樹氏。

「我々がお客さまに伝えたいことをCMに詰め込もうとしたからです。お客さまからみれば、未来に向けたブランドビジョンの言葉は関係ない。だから伝わらなかった。コミュニケーションの本質は『伝える』ことではなく『伝わる』ことと考えを改めました」。

生活保険「1UP」の交通広告

「伝わる」をコミュニケーションのコンセプトにしたのが、2015年9月に投入した新商品「1UP(ワンアップ)」である。若者が社会人として前向きに変わっていく様子を描いたテレビCMシリーズは、まるでドキュメンタリーを見ているよう。保険の説明は一切なく、「ワンアップ」というキーワードが出てくるだけである。

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