福岡の競争力を高める「独自組織」 産学官民の強みを発揮

福岡が成長している背景には、産学官民の柔軟な連携がある。それを支えている組織が、福岡地域戦略推進協議会(FDC)だ。域外の企業や海外の都市ともネットワークを築き、福岡の競争力を高めている。

福岡市は、仏ボルドーとの連携を開始。ボルドーはドローン分野で強みを持ち、福岡市はドローンビジネスの振興にも力を入れていく

福岡が都市としての国際競争力を高めるうえで、独自の機能を果たしている組織がある。福岡都市圏の成長戦略の策定から推進までを行う、産学官民の連携組織「福岡地域戦略推進協議会(FDC)」だ。

FDCは、2011年に設立。多様な企業・機関が協力しており、構成メンバーには、福岡県、福岡市といった行政、九州経済連合会、福岡商工会議所をはじめとする経済団体、九州電力やJR九州などの企業、さらに九州大学、地元金融機関などが名を連ねる。さらに、約140社が会員となっており、しかも、その半数以上が域外の企業だ。

都市を実証実験のフィールドに

FDC事務局長の石丸修平氏は、「域外の企業が福岡で事業をする際、FDCはワンストップの窓口として機能し、適切な福岡の企業・機関につなぐことができます」と、自らの特徴を語る。

「東京など他の地域では、求める企業・機関とつながるために、どこにアクセスすればよいのか見えづらいのが現状でしょう。福岡では、実証実験を行いたい企業があった場合、FDCが橋渡しを担い、公共の施設だけでなくFDCの会員を含めた民間企業のリソースも活かして、都市そのものを実証実験のフィールドにすることができます」

それは、福岡サイドにとっては、地域の課題解決に域外のリソースを活用できることを意味する。

「すべてを自分たちで賄おうとせず、足りないものがあれば、域外・海外から引っ張ってきて、オープンイノベーションを起こすのが、FDCの役割」

FDCは福岡市とともに、2016年から「実証実験フルサポート事業」を展開している。実証実験の場を提供するだけでなく、助成金の活用や国家戦略特区での規制緩和の検討、PR機会の提供など、さまざまな支援メニューを用意している。

例えば、東京のヘルスケア系スタートアップが福岡で実証実験を行う際、福岡に拠点を置くハウスメーカーとつなげ、住居の機能の一つとして、ヘルスケアのソリューションを提供する。そうした実ビジネスに近い実験を後押しし、新たな事業機会を創出させている。

石丸 修平(福岡地域戦略推進協議会 事務局長)

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