「肉×カフェ」の新業態、攻勢へ 飲食業を変えるアイデア

2017年5月、肉が旨いカフェ『NICK STOCK』を東京に初出店したゴリップ。同社はこれまでにも、数々の新業態を仕掛け、成功に導いてきた。しかし、勝山代表は「将来、食事をするだけの飲食店は不要になる」と語る。

「GINZA SIX」にオープンした、肉が旨いパブ『GRILL & PUB The NICK STOCK』。同店では、注文・会計にITを活用し、省人化の実験が進められている

勝山 昭(ゴリップ 代表取締役)

2017年4月20日にオープンして以来、大きな注目を集めている商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」。総出店数241のうち、飲食店は24店。その中で、"日本初の新業態"を掲げているのが、東京初出店で「肉が旨いパブ」をコンセプトにした『GRILL & PUB The NICK STOCK(ザ・ニックストック)』だ。

同店を運営しているのが、京都に本社を置くゴリップ。ゴリップは『ニックストック』のほか、3ブランドを展開している。サムギョプサル専門店『ベジテジや』、熟成牛ステーキ専門店『Gottie's BEEF(ゴッチーズビーフ)』、牛カツ専門店『京都勝牛』だ。

ゴリップは、代表取締役の勝山昭氏が2005年に創業し、2017年にグループで100店舗となった。売上げも、2017年の見込みで63億円と右肩上がりだ。成熟する外食産業において、ゴリップはなぜ成長を続けられるのか。

食に「楽しさ」を掛け合わせる

勝山代表は2005年、豚の焼肉であるサムギョプサルの専門店『ベジテジや』を京都にオープンした。当時、サムギョプサルは日本に根付いていなかったが、勝山代表には成功に向けたアイデアがあった。

「ただ豚肉を焼くのではなく、たくさんの小皿料理をサムギョプサルの肉と一緒にサンチュ(包菜)で包んで食べることを提案して、『包む楽しさ』をアピールしたんです」

勝山代表はサムギョプサルだけで20種類、一緒に包むトッピングは30種類を用意。さらに、いわゆる「焼肉」のイメージとは異なる爽やかな外観や内装で女性たちの心をつかんだ。

現在、『ベジテジや』は、サムギョプサル専門店としてシェア1位。サムギョプサルに「包む楽しさ」を掛け合わせたことで、ニッチ市場を開拓したのである。

勝山代表が次に目を付けたのが、牛肉だった。2014年1月、熟成牛ステーキ専門店『ゴッチーズビーフ』を大阪にオープン。これは、牛肉の市場拡大を予想しての戦略だった。

「当時、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)が話題になっていて、関税が撤廃されれば10年後、20年後、日本人の牛肉の消費量が高まると考えました。そうなったときに、安価な牛肉を美味しく食べるためにはどうすればいいのか。そう考えて、アメリカの製法でつくったエイジングビーフを扱うことにしたんです」

サムギョプサルに「包む楽しさ」を掛け合わせたのと同様に、同店でも食にエンタメ性を加えた。それが、全12種の肉を盛り込み、総重量が1kgを超える肉盛りプレート「NICK VILLAGE(ニックビレッジ)」だ。

手ごろな価格で楽しめる熟成肉と「ニックビレッジ」の写真映えする仕掛けが話題となり、『ゴッチーズビーフ』は現在、全国で13店舗を展開している。

熟成牛ステーキ専門店『ゴッチーズビーフ』では、総重量が1kgを超える肉盛りプレート「NICK VILLAGE(ニックビレッジ)」を提供。豪快な見た目で話題性を高め、SNSで拡散されやすくしている

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