2016年8月号
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プロジェクトニッポン 奈良県

行政が「プロ料理人」を育成? オーベルジュ併設の大学校が誕生

原 実(なら食と農の魅力創造国際大学校 副校長)

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世界で活躍する料理人や県内農業をリードする生産者などの育成を目指して、奈良県が開校した『なら食と農の魅力創造国際大学校』。併設するオーベルジュでの実践実習など、全国初のチャレンジに注目が集まる。

オーベルジュを併設し、経営スキルのあるシェフや農業人材を育てる「なら食と農の魅力創造国際大学校」

公設教育訓練機関がオーナーシェフを育てる

NAFIC安倍校舎(フードクリエイティブ学科)

『なら食と農の魅力創造国際大学校』(以下、NAFIC)は、奈良県農業大学校を再編して2016年4月に開校した。“「食」と「農」のプロフェッショナル”の育成を掲げる大学校は2つの学科から構成される。ひとつは、農業大学校の機能を継承し、高い技術や経営力を持つ農業人材を育成する「アグリマネジメント学科」。そしてもうひとつは、オーナーシェフなどの食の担い手を育てる「フードクリエイティブ学科」だ。

世の中には民間の調理師専門学校や、公立高校の調理師免許コースは存在するが、NAFICが目指すのは単なるシェフの育成ではない。調理技術だけでなく、「農」に関する深い知識を持ち、経営やマーケティングのスキル、おもてなし力も備えるプロフェッショナルの輩出である。

そのため、教育は極めて実践的だ。学校内にオーベルジュ(宿泊施設を備えたレストラン)を設置し、一般のお客を迎えながら料理やサービスに関する実習を行うほどである。

公設教育訓練機関の枠にとらわれないNAFICの取り組みだが、この学校はどのように生まれたのだろうか。

奈良県は人口1000人当たりの飲食店数が全国最下位クラス、過去には志賀直哉が随筆に「奈良はうまいものがないところだ」と記すなど、食に関してネガティブなイメージがあった。

これを払拭するため、奈良県は近年、農業振興に加えて食の振興に注力してきた。奈良の伝統野菜やこだわり野菜を「大和野菜」としてブランディングする取り組みや、全国に先駆けた屋外型グルメイベント「奈良フードフェスティバル・C'festa(シェフェスタ)」の開催など、様々な仕掛けを行ってきた。

特に県内外の一流シェフが、奈良の食材を使った料理を振る舞うC'festaは、20万人以上を集める人気イベントとなっている。「この取り組みは、来場者だけでなくシェフにも大変好評で、『奈良にこんな美味しい食材があったのか』と驚いて、イベントに限らず食材を採用してくれるようになっています。こうした経験から、『食材のことを理解した料理人』の育成の重要性に気づき、県でその育成に向けた議論が始まりました」と、NAFIC副校長の原実氏は話す。

議論が進むなかで、オーベルジュを併設して高度な現場研修を行う構想や、農業大学校と一体化して農と食の人材育成を融合させる構想などが生まれた。

NAFIC学長には、グローバルで活躍するシェフ・経営者である、ひらまつ代表取締役社長の平松博利氏が就任(写真右)

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