ヘルスケアの「外」に注目せよ 「新しい組み合わせ」が革新を生む
イノベーションとは、既存の要素の「新しい組み合わせ」。組み合わせのパターンを考えるうえでは、一見非常識と思えるようなアイデアが、革新的なビジネスを生み出すことがある。それは、ヘルスケア分野も例外ではない。
超高齢社会を迎え、ヘルスケア・健康産業の需要は高まっている。さまざまな業種・業態から、「ヘルスケア分野」に新規参入する事業者がさらに増えていくことが見込まれる。
「業界の常識は覆り続けている」と話すのは、ミレニアムパートナーズ代表取締役パートナーの秦充洋氏。ボストンコンサルティンググループにて既存事業の見直し、新規事業支援、人事組織戦略など、幅広いプロジェクトを指揮してきた経験を活かし、昨年『プロ直伝! 成功する事業計画書のつくり方』を出版した。
どんな状況でもチャンスはある
秦氏は「既存事業は必ず衰退する」と前置きし、新規事業を立ち上げるうえで必要な3つの考え方を、次のように提示した。
- ◦どんな状況でもチャンスはまだまだある
- ◦誰がどんな変化を起こしてくるかわからない
- ◦過去にあぐらをかいていては足元をすくわれる
「業界の常識は一定の期間で変わり続けます。インターネットを例に挙げると、1990年代後半のインターネットバブル期はヤフーが市場No.1で、検索機能ではトップを誇っていました。しかし、その後グーグルに一気にとって代わられ、完全なる逆転が起こった。フェイスブックも出てきて、ここ20年で様変わりしています」
デバイスがパソコンからスマートフォン、タブレットに変化し、専用アプリの使用率が増加し、グーグルの検索シェアも下がり始めた。グーグルは新たな事業展開を求めて、得た利益を自動運転、人工知能など次なる産業へ投資を始めている。
「ネットベンチャーに限らず、どの企業もまずはコンセプトを持ち、小さく実証を始めます。うまくいけば、追加投資をする。その繰り返しです」
新しいヘルスケア関連のサービスも増えてきた。米国のヘルスケアビジネスでは、例えばピルパック社は薬の飲み忘れを防ぐサービスが始めた。投薬日時を記載した袋に機械で処方薬を小分けし、利用者に郵送する。薬の飲み忘れを防ぐことができ、さらに無駄な投薬がなくなり医療費削減にもつながるというコンセプトだ。薬局との競合となるが、消費者ニーズを捉えた事業で顧客の心をつかんでいる。
“新しい組み合わせ”の衝撃
それでは、事業アイデアを出し、イノベーションを起こすには、どうすればいいのか。
イノベーションは、今から100年ほど前、経済学者シュンペーターによって初めて定義された。その定義は、「新技術やアイデアから、新たな価値と変化を創造する人・組織・社会の幅広い変革」とされている。
「イノベーション=新技術と置き換えられることもありますが、必ずしも新技術が必要ではありません。世の中が変わることがイノベーションです。既存のモノ同士の“新しい組み合わせ”(新統合)をつくることによって、イノベーションを起こすことができます。新しいものを考えすぎると、かえって邪魔になることさえあります。全くの最新技術は、性能が不安定であったり、世の中に普及しにくいからです」
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