地元主体の「売れる」販促 消費者の心に響くクリエイティブ

小ロットで発注できる販促物制作、小売での販促を支援するカルビー・カルネコ事業部。そのノウハウを活かし、鳥取県日南町の新しい「道の駅」の総合クリエイティブを担当した。地域に寄り添ったクリエイティブ支援と、地元の人々の手で売るための教育に注目が集まる。

地方創生の号令のもと、各自治体は地方版総合戦略を2016年3月までに策定した。戦略を実行に移す初年度となる2016年に、どれだけ具体的な行動を起こせるかが勝負となる。地域の特徴を活かした、個性があふれる商品、空間、サービスの開発において、「クリエイティブと販売促進」はひとつの要となる。

道の駅のクリエイティブ支援

戦略を実行に移した一つの事例が、今年4月にオープンした鳥取県日南町の「道の駅 にちなん日野川の郷」である。町の重要戦略「コンパクト・ヴィレッジ構想」の中心となる拠点(まちの駅)として計画された。人口約4600人の町でありながら、オープン後1週間で来場者1万人を超えるという盛況にいたった。

日本初の「カーボン・オフセット道の駅」であり、環境配慮を特徴としたユニークさが際立っているが、統一されたクリエイティブや地元の人の思いが伝わる販促物には他にはない特色がある。

道の駅の建物やインテリアは森をイメージしたもので統一され、町産の木材がふんだんに使われている。ロゴマークや店内のサインも環境を連想させるデザインと色づかいに統一され、農林産物などの「にちなんブランド化」も図っている。

店内すべてのPOPやサイン、天井から吊り下げたバナーなどの制作もサポートするなど、道の駅の構想段階からブランディングサポートを多角的に手掛けたパートナーが、カルビー・カルネコ事業部。加藤孝一事業部長は「カーボン・オフセット普及の多様な試みを集約した施設として、中山間地の自治体が抱える問題解決のモデルになってもらいたい」と発展的な可能性を話した。

EVI推進協議会のロゴマーク

消費者の心に伝わるメッセージ

カルネコ事業部は、菓子・食品メーカーであるカルビーの一事業部。メッセージ開発、販促ツールデザインの制作支援など、小売における販売促進の支援を行うため、社内プロジェクトとして2001年に発足し、その後独立した事業部となった。

「当時、競合商品が増え、カルビーも価格競争に陥りそうになっていました。しかし、効果的な時期に、消費者の心に伝わるメッセージを届けていければ、消費者は価格ではなく、価値で商品を選んでくれます。そのような販促支援をしたいと思い、カルネコ事業部を立ち上げました」

カルビー・カルネコ事業部 加藤 孝一 事業部長

「カルネコシステム」と名付け、実需調達型メッセージプロモーションを開始し、必要な数を必要な時期に小ロットで生産する体制を取っている。その結果、在庫・廃棄・欠品ロスの発生を防ぎ、無駄をなくし、コスト削減をサポートでき、環境負荷も少ない。また、販促支援としてCI(コーポレート・アイデンティティ)の考えに基づき、メッセージの作成も含めたクリエイティブのトータルデザインも行ってきた。

「企業の独自性を統一したイメージやデザイン、わかりやすいメッセージで発信し、企業価値を高めていくことが私たちの使命です。日南町の道の駅でも、CI手法を取り入れ、利用者に日南町の魅力を分かりやすく伝える店づくりにしました。商品開発にはじまり、販促支援、空間デザインに及ぶ総合的なクリエイティブに携わりながら、自治体でも活かすことができる手法だと気づいたのです」

外部の請負コンサルティングが、すべてをお膳立てしてつくられた自治体のハコモノも少なくないが、オープン後地元の人が運営したり、改善するスキルがなく、継続できないケースもある。一方、カルネコ事業部の特徴は、カルビーで培った消費者起点のマーケティング手法を用い、地元の人たちと一緒にデザインをつくりあげていくところにある。内閣府・地域活性化伝道師として地方創生を支援している加藤部長は、事業部のクリエイティブリーダーとともに、日南町に訪問し、売れる商品のデザインづくり、POP作成教室も開催した。

「『売れる』商品開発、消費者に『届く』販促メッセージとは何か。地元の方々が主体的に考えて売っていただく。そのための具体的なノウハウを、地域の課題に合わせて紹介しています」

「道の駅 にちなん日野川の郷」(鳥取県日南町)の総合クリエイティブを担当。地域の魅力を伝える写真を入れた店内バナーやロゴ(下)、サインなどを作成した

ECサイトでの販路も充実

カルネコ事業部は、EVI(Eco Value Interchange)推進協議会の運営も行っているため、多くの販路を持つことも特徴だ。同協議会は、森林吸収系クレジットの流通を促すため、2011年3月に創立した。森林事業者とクレジットを購入する企業、環境貢献をしたい消費者をつなげるため、毎年マッチングイベントを開催。また、普段の買い物を通して、環境貢献ができるカーボン・オフセット商品を販売する販路拡大にも取り組む。

ECサイトも充実し、2013年に通販サイト「森のめぐみのおとりよせ」を開始。2015年4月には環境貢献型ショップ「EVI SHOP」を楽天、アマゾン、ヤフーで同時オープンした。国産材を利用した雑貨や家具、産直の農産物など、日本全国の地域の特色を活かした商品が並ぶ。一地域のニッチな商品でも「環境貢献」という特徴で全国に売り出すことができる仕組みだ。

EVIの販路も含めて、環境を特徴としたまちづくり、地域PRを目指す自治体にとって、カルネコ事業部は大きな味方になるだろう。

EVI推進協議会のSHOPも道の駅内に展開している

 

お問い合わせ

  1. カルビー株式会社
    カルネコ事業部

  2. URL:http://info.calneco.jp/index.html
  3. URL:https://www.evic.jp/evi/top.jsp
  4. TEL:03-5220-6234

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