地域課題「焼酎廃液」に着目 日本初技術を開発した建設会社
宮崎県の建設会社の加賀城建設は、地域資源の焼酎に着目して、焼酎廃液から高効率で燃料用エタノールを抽出する、国内初の技術を開発した。地域課題を解決したいという熱意が、イノベーションを生んだ。
全焼酎メーカーが抱える悩み
1950年創業の加賀城建設は、宮崎県を中心に一戸建てからマンション、民間建築、公共事業まで幅広く手がける総合建設業で、社員数は31人。2013年からは、あなぶきハウジンググループの一員となっている。
首都圏の建設会社が東京オリンピックなどの特需に沸く一方で、地方都市の建設会社の置かれた経営環境は厳しい。加賀城建設は今後の成長を見据えて、数年前から新規事業の検討を開始。なかでも、建築・施工技術が活かせて市場も成長している環境エンジニアリング分野の可能性を検討してきた。
そこで着目したのが、宮崎の特産品である焼酎だ。「建設の仕事で、地元の焼酎メーカーとお付き合いがあるのですが、どの会社も焼酎廃液(焼酎粕)の処理に困っていたのです」。そう話すのは、加賀城建設で新規事業開発を担当する池田勇人氏だ。
焼酎廃液とは、焼酎の製造過程で必ず発生する、イモなどの蒸留粕類を指す。焼酎廃液の処理は、これまで主に海洋投棄や畑地還元が行われてきた。しかし、海洋汚染の影響が大きいことから海洋投棄は2001年のロンドン条約により禁止され、畑地還元も土壌内のバクテリアと反応することで地下水汚染物質が発生してしまうことが問題になってきた。
近年では、工場内に焼酎廃液の処理設備を導入し、飼料・肥料化する例も増えている。しかし、こうした設備投資ができるのは体力のある大手メーカーだけで、処理に伴う燃料費も高騰して収益圧迫要因の一つになっているという。
「宮崎には37の焼酎蔵元がありますが、社員数名という小さな会社も多いのです。産廃処理は1トンあたり6000-7000円のコストがかかります。中堅メーカーの場合、1日30-50トンの廃液が発生するため、年間処理費用は4000万円を超えてしまいます。この問題をなんとかできないかと廃液処理の研究に着手しました」
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