日本一の酒ところ、灘五郷 創業125年の若手酒造が挑む新事業

日本一の酒どころ、兵庫県灘五郷に蔵を構える日本盛。イノベーションの気風豊かな同社は、業界初の希少酒を量り売りする新規事業をスタート。市場活性化を狙う。

「日本盛新橋店」で楽しめる生原酒飲み比べセット

日本一の酒どころとして知られる兵庫県の灘五郷は、兵庫県神戸市の東灘区・灘区と同県西宮市を合わせた阪神間の地域。海岸線に沿って西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷がある。

この地域は六甲山系の豊かな自然があるだけでなく、酒造りに不可欠の美味しい米と清水に恵まれ、精米に利用する水車を設置することができる夙川、芦屋川、住吉川が流れ、さらにでき上がった酒をすぐに船に載せて江戸に運ぶことができたため、江戸時代の初期から酒造りが盛んに行われてきた。

2000年に完成した日本盛と日本酒の情報発信基地「酒蔵通り煉瓦館」

灘五郷には日本の名だたる酒造メーカーが蔵を構えており、創業400年、300年というメーカーもざらにあるなかで、創業125年と比較的歴史が“浅い”のが日本盛だ。

灘五郷の酒造メーカーは家業が企業に発展したケースがほとんどだが、同社は地元の青年実業家の有志が集って「西宮の発展に役立つ事業を企てよう」と1889年(明治22年)に、日本盛の前身となる西宮企業会社を設立したという異色の歴史を持つ。

日本盛工場での日本酒製造風景

美容、BtoC、健康酒「酒造メーカー初」の数々

当時の酒造ベンチャーである日本盛は先行する大手メーカーに追いつき、追い越すためにチャレンジ精神を重視してきた。同社の新規事業部部長・王子龍司氏によると、その精神は今も受け継がれているという。

「灘の大手と比べるとスタートから200年以上の差があるわけで、時間差を乗り越えることは不可能です。大手と同じことをしていては差は縮まらないので、常に新しいことに挑戦し、技術革新をしていこうというDNAを持っています」

酒造メーカーとしては若い日本盛は、創業以来自由闊達な社風をもつ

実際、同社は「酒造メーカー初」となる事業取り組みをいくつも仕掛けてきた。

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