2014年11月号

メディア・ベンチャーズ

街や服、自撮り投稿をメディア化 「空きスペース」は広告の舞台

月刊事業構想 編集部

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現在、あらゆるスペースが“メディア”として活用され始めている。アイデア商売に終わらせず、消費者の関心を引きつけるためには、何が必要になるのか。そのカギは、意外性とエンターテインメント性にある。

スウェーデンのフィットネスクラブ「Friskis & Svettis」は、ロゴを反転させた社名入りTシャツを配布。鏡越しに撮影された会員の自撮り画像が大量にアップされ、話題となった

現在、身体から衣服、都市の風景まで、さまざまなものが“メディア”として活用されている。この流行は、SNSの隆盛も影響している。それ自体を目にする人が少なくても、ユニークな取り組みは、すぐにSNSで拡散するからだ。

自撮り投稿でプロモーション

SNSでの拡散を狙い、それが成功したのはスウェーデンのフィットネスクラブ「Friskis & Svettis」のアイデア。月間アクティブ利用者数が2億人とも言われる写真共有サービスのインスタグラムには、自分を撮影して投稿する人も数多い。そこに目を付けた同社は、ロゴを反転させた社名入りTシャツを作成。このTシャツを着て、鏡越しに自撮りをした画像を投稿すれば、自社のアピールにもつながる仕掛けだ。

Tシャツ2700枚は主にジム会員に送付されたほか、ジムで無料配布するとわずか3日間でなくなった。そして間もなく、会員たちがTシャツを着てトレーニングする自分の姿を続々とインスタグラムに投稿し始めたのである。このキャンペーンにかかった費用は、Tシャツ代と郵送費のみ。それで数百万のインプレッションを得たというから、見事な戦略だ。

「裏面」の活用にチャンス

今まで使われていなかったスペースを有効活用するサービスも、続々と生まれている。

日本では、オーシャナイズが2006年に開始した「タダコピ」がある。コピー用紙の裏に広告を入れることで、コピーを無料にしている。この盲点を突くサービスは一気に拡大し、現在197の大学と提携しており、大学生のモバイル会員は20万人を超え、毎月のプリントアウト枚数は150万枚にのぼる。

タダコピの登場後には、「裏面」に注目が集まり、レシートの裏や表面の空きスペースに広告が掲載されるようになった。

誰からも注目されていなかった「裏面」のスペースを活用したのが、ブラジルの出版社「L&PM Pocket」。同社はブラジル国内で1000店舗以上展開しているファッションブランドとコラボして、ジーンズのポケットの裏地に有名作家の本の一節を印字し、それを普通のジーンズ置き場で販売した。ジーンズを見に来た客がその印字に気づいて書籍に関心を持つ、という仕掛けである。

ブラジルの出版社「L&PM Pocket」は、ジーンズのポケットの裏地に有名作家の本の一節を印字

結果は、サイトへのアクセス数が24%、本の売り上げは13%アップ。それだけではなく、同社のブランディングにも貢献した。

意外性では、イタリアの自動車メーカー、フィアットの取り組みも負けていない。ガラスメーカーと提携し、ガラス製品を運搬するときに使用される発泡スチロールの緩衝材を自社のバンの形にデザインしたのだ。そして段ボールの内側に「あなたの荷物を運ぶための最も安全な方法」というメッセージを添付したところ、利用者が増加したという。

フィアットは、発泡スチロール製の緩衝材をクルマの形にデザイン。割れ物を運ぶ際、箱に詰め込まれる緩衝材をメディア化した

街や建物のメディア化も進展

屋外でも、花壇やベンチ、階段、壁などあらゆるスペースがメディア化しており、路上での3Dトリックアートの活用も進んでいる。3Dトリックアートとは、立体的に見える絵を平面に描くもので、町並みをダイナミックに変貌させることができる。

路上での3Dトリックアートで有名なのは、ジョー&マックスというアーティスト。ロンドン、シンガポール、スイス、ブラジルなど世界を旅しながら、グーグル、コカ・コーラ、ディズニー、リーボックなど大手企業とコラボしている。映画「バットマン ダークナイトライジング」のプロモーションでスペインのマドリードに描いたトリックアートは世界中で話題となった。

消費者が企業から発信される情報に反応しづらくなっている今の時代、関心を高めるための意外性、エンターテインメント性を持たせるアイデアが、世界で巻き起こっている。

アーティスト、ジョー&マックスは大手企業ともコラボ。街中にトリックアートを描き、プロモーションに活用

トートバッグ、メディア化への挑戦

text by 神谷富士雄(スーパープランニング常務取締役・事業構想修士)

 

トートバッグは約100年前、アメリカ軍隊が野営のときに氷や水を運ぶ手提げ袋として定義付けられたと言われています。現在は、モノを運ぶ道具として誰もが気楽に使っています。2001年に立ち上げたトートバッグ専門ブランド『ROOTOTE(ルートート)』は、「楽しいお出かけ!~Fun Outing!」をタグラインに、多様な機能とデザインによる選ぶ楽しさ(モノ)と、社会貢献(コト)を共存させるブランディングを行なっています。

多様な機能の一つとして、メディアがあります。ファッションはもちろん、大好きなキャラクター、ウィットに富んだ表現や社会に向けたスローガンなど、持つ人の嗜好や共感、主張などがトートバッグに込められています。

特に、プロモーションの手段として活かされており、徒歩の移動が多い都市圏においては、ローテクな「動くメディア」として機能していると確信しています。これからは「社会を変えるメディア」となりうるブランディング活動を進めていきます。

エイズ啓発活動「AAA(Act Against AIDS)」キャンペーンとのコラボ

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