電力小売自由化が生む「新サービス産業」 7.5兆円の市場を開拓

2016年に予定される、電力小売の全面自由化。家庭向けに巨大な市場が生まれ、電力データを活用した生活支援サービスなどが登場するとみられる。どのような事業者やサービスに成長のチャンスがあるのだろうか。

「全面自由化によって顕在化する市場は、全国7800万契約、金額にして7.5兆円にもなります。これによって、あらゆるプレーヤーに事業参入の機会が生まれます」。自由化の市場性を強調するのは、エプコグループCEOの岩崎辰之氏。

1990年設立のエプコは、戸建住宅の水回りシステムの設計コンサルティングで成長。新築住宅の設備設計シェアは14%に達する。現在は住宅・家庭分野のノウハウを活かし、住宅用太陽光発電やHEMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発や設計などを手がける。

当然、同社も電力小売ビジネスへの参入を目指している。自ら電力小売を行うのではなく、電力小売に参入しようとする事業者へのインフラ提供をビジネス化する考えだ。つまり、電力データなどを収集する情報基盤や、データを解析・加工してサービスに利活用するためのアプリケーション基盤の提供・開発を担う。「将来的にはマーケットシェア20%、1500万契約が目標。さまざまな事業者との協業を考えています」

サービス面の差別化がカギ
自治体にも大きなチャンス

岩崎辰之 エプコグループCEO

岩崎氏は電力小売りビジネスのポイントを次のように指摘する。「小口需要家の家庭は当然、1契約あたりの利益は少ない。単なる電力の販売、安売りでは収益は確保できず、他社との差別化も図れません。重要なのは、電力データなどを活用した独自性の高い生活支援サービスの開発です」

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