2014年8月号

地域未来構想 岐阜県

新生・FC岐阜が目指す「ゴール」

恩田聖敬(岐阜フットボールクラブ 代表取締役社長)

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今季、ラモス瑠偉・監督や川口能活選手、三都主アレサンドロ選手を迎えて、注目を集めているFC岐阜。4月には、同チームを経営する岐阜フットボールクラブに、36歳の新社長が就任した。攻めの姿勢を保ちながら、地域貢献にも力を注ぐ。

多くの観客で賑わう岐阜メモリアルセンター長良川競技場

2006年、東海社会人リーグ1部で優勝を飾った記念すべき年に岐阜フットボールクラブが設立された。地域の象徴としてのサッカーチームを運営するため、トップからアカデミーまでのサッカー選手を育成するとともに、岐阜県内のさまざまなスポーツの普及に力を入れて、活動することを目指した会社である。

しかし、成績、財政面ともに振るわない年が続き、2011年はJ2最下位でシーズンを終了。翌2012年には財政難によるクラブ消滅の危機にも陥った。

2014年4月24日、代表取締役に就任した恩田聖敬氏は就任記者会見で自身のすべきことを明確に示した。「一つはスタジアムをお客様でいっぱいにすること、もう一つは、もっとFC岐阜を知ってもらうこと」

恩田聖敬(おんだ さとし) 岐阜フットボールクラブ 代表取締役社長

自ら広告塔になってPR

恩田氏は岐阜県山県市出身で、高校まで地元で過ごした。京都大学大学院卒業後、アミューズメント企業に入社。店舗スタッフからスタートし、役員にもなった。恩田氏にはスポーツビジネスの経験がない。しかし、そこが経営者としての強みになると語る。

「私には、サッカーはこうあるべきという発想がない。だから、新たなコスト削減方法や収入源を探すことができます。まずは小さな改善をコツコツと重ね、安定収益を目指します」

一方で、サービス業の感覚をとり入れた経営にも意欲的だ。

「私自身が広告塔になってショッピングモールなどでPRを行うこともあります。サッカー好きな方以外にもFC岐阜に興味を持っていただき、岐阜のシンボルとして認識してほしい」

活況をブームに終わらせない

FC岐阜が注目を浴び始めたのは、ラモス瑠偉・監督、元・日本代表の川口能活選手、三都主アレサンドロ選手の補強によるところが大きい。

サービス業の考えをとり入れ、試合前後には、社長以下スタッフ総出でファンの出迎え、見送りを行う

「選手や監督にスポットライトが当たることは、とてもありがたいことです。ただ、これがブームで終わってはいけない。私はかつて店舗スタッフを経験し、『お客様は興味を失えば一瞬にして消えていく』ことを肌で感じてきました。一番大切なのは、毎回、お客様が何を感じているかをつかみ、検証して、戦略的に次の企画を出し、何度でも足を運んでいただく流れをつくることです」

定時を過ぎてから始める企画会議は、アイデアの数を競う活発なものだ。

「経営陣を含め、スタッフ全員であまりテーマを決めずにブレストを行っています。たとえば営業スタッフから新しいスポンサーの話が出たら、イベント担当者がどのタイミングでタイアップができるか、と具体的に詰めていく。まずは、社内の連携をスムーズにしていかなければなりません」

就任記者会見で「もう一つやるべきことは、もっとFC岐阜を知ってもらうこと」と語った恩田氏。

その意図を「私も、チームに多くの資金を投じたJトラスト代表の藤澤信義氏も、ともに岐阜県出身です。経営者となった今、自分を育ててくれた地元への感謝の気持ちを、改めて強く感じています。だからこそ、試合やイベントに多くのお客様を動員して岐阜を盛り上げたい」と語る。

FC岐阜が目指す未来には、世界を視野に入れた戦略もある。

「東南アジアでは、サッカーが地域活性化のキラーコンテンツになっているそうです。サッカーを通じたビジネスのマッチングや、地域間や海外との交流などが実現すれば、岐阜というブランドを発信していく一助になる」

街のサッカー文化を絶やしたくないという願いから生まれたFC岐阜。いくつもの逆境を乗り越えてきたチームが次に挑むのは、世界から注目されるコンテンツとして、ピッチ内外で存在価値を高めていくことだ。新生・FC岐阜の挑戦から、目が離せない。

サッカー教室や学校訪問、職場体験、健康づくり教室など地域と触れ合う機会を数多く設けている

地方創生のアイデア

月刊事業構想では、「地域未来構想  プロジェクトニッポン」と題して、毎号、都道府県特集を組んでいます。政府の重要政策の一つに地方創生が掲げられていますが、そのヒントとなるアイデアが満載です。参考になれば幸いです。

※バックナンバーには、そのほかの都道府県も掲載されております。是非ご一読ください。

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