ビッグデータで脳疾病を防げ

脳科学とビッグデータで、認知症や脳卒中を予知・予防する――。そんな先進的な研究が弘前大学を中心にスタートした。課題先進県、青森から新しい健康・医療モデルが始まる。

岩木健康増進プロジェクトの模様。毎年1000人を検診する

世界でも類を見ない
のべ1万人超の検診データ

弘前市岩木地区は、日本一の短命県である青森県でも平均寿命が低いエリア。ここで10年前から、弘前大学が中心となり、短命県返上に向けたある取り組みが始まった。その名も「岩木健康増進プロジェクト」だ。

毎年約150人の医療スタッフが、約1000人の住民を対象に、“頭からつま先まで”文字通り徹底的に検診する。生活習慣、血液、循環器、腸内細菌など1人当たり約360項目の検査を半日がかりで実施。子どもから高齢者まであらゆる年齢層を毎年追跡調査し、家族3世代の健康状態を比較したり、健康リスクの大きい人にはより詳細な検診をしたりする。

村下公一 弘前大学 COI研究推進機構教授・機構長補佐

「短命の原因は何か、答えは現場にある。そう考えた中路重之教授(現医学部長)らが中心となり、地道に住民との信頼関係を築いて、個人情報などさまざまな壁を乗り越え、プロジェクトを推進してきました。これほど多項目で大規模なコホート研究は、世界を見回しても稀有な例であり、非常に価値があるのです」と、弘前大学のCOI研究推進機構で教授・機構長補佐を務める村下公一氏は言う。

のべ約1万人分以上という“ビッグデータ”からは、すでに「睡眠の質とメタボリックシンドロームの関係性」「動脈硬化の進行と、難聴や認知症との相関」など、数々の研究成果が出ている。成果のほとんどは、青森県民の短命の理由とも重なっている。

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