2014年1月号

地域未来構想 千葉県

起業家が集まる、柏の葉スマートシティの「磁力」

柏の葉スマートシティ

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千葉県柏市で開発が進む次世代都市、柏の葉スマートシティ。新産業創造を目標の一つに掲げるこの街に、来年4月、成長企業の誘致を狙った大型コワーキングスペースが整備される。

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ゲートスクエアにはオフィスやホテルが整備される

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三井不動産柏の葉キャンパスシティプロジェクト推進部事業グループ主事
弘瀬愛加さん

秋葉原からつくばエクスプレスで30分に位置する柏の葉キャンパス駅。2000年に駅周辺の開発がスタート。千葉県や柏市の「公」、三井不動産などの「民」、そして千葉大学などの「学」が連携し、約273ヘクタールの広大なスケールに次世代スマートシティの整備を進めている。2011年には内閣府の環境未来都市と総合特区のダブル指定を受け、規制緩和や資金支援を活用した街づくりが本格化している。

2014年4月からは柏の葉キャンパス駅前に、スマートシティの玄関口となる街区「ゲートスクエア」(事業主:三井不動産)が順次開業する。商業、賃貸住宅、ホテル、カンファレンスセンターなどの機能が整備される予定だが、中でも注目は新たなイノベーション拠点となるオフィス空間「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」だ。

起業家、学生、住民が交流 オフィスのイメージを覆す空間に

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イノベーションフロア「KOIL」では、コミュニケーションを重視した空間づくりを行う

もともと柏の葉スマートシティは、「新産業創造」を都市モデルの目標の一つに掲げている。ビジネス街である東京都心と学術都市・つくばの中間に位置し、大学や多くの研究機関も集積する地の利を活かした産業集積を推進。国際ビジネスコンテスト「アジア・アントレプレナーシップ・アワード」の開催などを通したスタートアップ支援も活発だ。KOILの整備は、柏の葉での新産業創造を大きく前進させる可能性を秘めている。

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ロフトワークが運営する交流スペース「Fabcafe

KOILはゲートスクエアのショップ・オフィス棟の4-6階に整備される。中でも6階は「イノベーションフロア」として、ワンフロア約800坪が丸ごと、コワーキング空間となり、会員が自由に利用できる約200席のフリースペースのほか、カフェやイベントスペース、共用ファクトリーなどまで揃え、多彩な事業支援サービスや交流イベントが展開される。4-5階は一般的な賃貸オフィスだが、6階のサービスを一部受けられたり、イベントに参加して交流を生み出すことが可能である。

事業を担当する三井不動産の弘瀬愛加さん(柏の葉キャンパスシティプロジェクト推進部事業グループ主事)は、「スタートアップや企業だけでなく、学生や研究者、さらには地域住民にも開かれた場所。いわゆるオフィスというイメージから脱却した空間を目指しています」と説明する。

KOILでは、単に仕事場をシェアするのではなく、多様な立場の人が交流し、イノベーションを起こす場となることを目指している。そのためにハード・ソフトの両面からさまざまな仕掛けを提供していく。

コワーキングスペースはフリー席や固定席、夜間週末利用、1日限定などのプランを用意して幅広い利用ニーズに対応する。3Dプリンターなどをそろえたファクトリーは、入居者の試作開発に役立ててもらう。

全体の空間づくりや交流カフェの運営では、都内でものづくりカフェの運営を行うロフトワーク(渋谷区)が協力。入居者や地域住民が交流し、意見交換できるイベントも定期的に開催していく。国内外の起業家や投資家らが集まるネットワーキングプログラムから、地域住民のクラブ活動まで、あらゆるイベントに場を提供し、参加者同士の化学反応を起こしていく。

起業支援のプロがサポート

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ファクトリーには3Dプリンターなどを揃える

スタートアップを大きく育てるための支援も欠かせない。「柏の葉スマートシティは研究機関や大学が多い場所柄で、テクノロジー型ベンチャーが多く生まれる場所です。こうした企業は資金調達や、研究をビジネスに育てる段階で悩む例が多く見られます」。そこでKOILは、つくばエクスプレス沿線で起業家支援に取り組む「TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)」と連携。資金的支援や経営助言を行うエンジェルや、弁護士や会計士などの専門家ら合計約200人の会員を擁するTEPがイノベーションフロア内に拠点を置き、入居者を支援する。

オフィスフロアは開発チームやプロジェクト単位での入居も可能にした。「例えば都内企業の新規事業部門が数ヶ月限定で入居し、集中的にプロジェクトに取り組んでもらう、などのニーズも考えられます」。

会員募集は来年2月からだが、すでに起業家や地元の注目度は高い。「仕事を辞めて柏の葉に住む主婦の方から、『KOILで何か始めたい』と問い合わせがありました」という。

三井不動産ではこれまで、既存ビルの一部をコワーキングスペースに改修して貸し出すことはあったが、新築ビルのフロア全体をこうした形態で提供するのは初めてだ。「当社にとっても前例のない挑戦で、試行錯誤の連続です。『今までの三井不動産らしくないね』とよく言われますが、これは嬉しい反応ですね。KOILで成功事例を作り、取り組みを全国に広げていきたい」と弘瀬さんは意気込む。

柏の葉スマートシティでは、新産業創造だけにとどまらず、エリアエネルギーマネジメントシステムなどを活用した低炭素コミュニティ、健康に関する各種サービスをワンストップで提供する「街の健康ステーション(仮称)」など、日本や世界が抱える課題を解決するためのモデルづくりが進められている。プロジェクトは海外からも注目を集めており、年々視察件数は増えているという。「常に新しいことを取り入れ成長し続ける街として、世界に『柏の葉』を知ってほしい」と、開発者たちは思いを強くしている。

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