浜松発新ブランド「うなぎいも」

浜松市の食の代名詞、うなぎ。蒲焼きの消費量は日本一だ。この加工残ざん渣さを肥料化して育てたさつまいも「うなぎいも」が注目されている。地域の農家や流通がチームを組み、新ブランドを育てる。

廃棄されるうなぎ残渣に着目 無料で引き取る事業モデル構築

うなぎいもプリン

「うなぎいも」は紅はるかという品種のさつまいもを、うなぎの頭や骨といった残渣から作った肥料で育てたものだ。乾燥・粉砕したうなぎと、主に浜松市内で排出された草木チップ由来の堆肥をブレンドして肥料化する。完成した「うなぎいも」はもちろんうなぎの味ではなく、甘いさつまいもの味がする。

「うなぎいも」はもともと、造園業を営むコスモグリーン庭好(浜松市)が開発した商品だ。「2009年頃、造園業の片手間に農業を始めようと考えたのがきっかけです。軽い気持ちで、暑さや寒さに強く育てやすいさつまいもを選び、事業を開始しました」と、同社取締役の伊藤拓馬氏は打ち明ける。

ところが、さつまいもは「作ってもほとんど売れなかった」という。有力な産地のさつまいもには、ブランドでも価格でもかなわない。「浜松だからこそのブランド、付加価値が必要。そう考えたとき、『うなぎだ』とすぐに思いついた」。

魚の残査由来の肥料はすでに世の中にあるが、うなぎを使ったものは存在しなかった。浜松市内にはうなぎ専門店や加工業者が立ち並び、そこからは毎日大量の残査が廃棄される。当然、処分費は有料だ。これを無料で回収し、肥料にしてさつまいもを育てるモデルを考案。また当初の失敗から、より付加価値の高い加工食品にして発売した。

協同組合化で品質を安定化

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