製品開発に、コストは無用!

新規事業創出・育成待ったなしの立場にあるのが、2次・3次のサプライヤーだった町工場などの中小企業だ。しかし、町工場には、多額の投資を行って失敗した過去の経験から、新規事業に二の足を踏んでしまうケースも多い。しかし、大事なのは「お金をかけない」製品開発の実践法だ。

「宇宙初!」と銘打った、伸び縮みする新感覚の金属バネブロック「SpLink」。創業42年目、1個1円以下のバネ量産工場の三代目経営者が開発。写真はカエルとペン立て。クラウドファンディングで約55万円を調達した

新規事業を行うのは、大企業ばかりではない。とりわけ、いわゆる「下請け企業」だった中小企業は、モノづくり産業の低迷、大企業の工場の閉鎖や国外流出の影響を直に受け、生き残りには自ら製品開発を行うことが必須の状況となっている。その一方で、新規事業開発、とりわけBtoCマーケットとなれば、こうした企業にとってはほぼ未体験の分野となる。では、どうすればよいのか。「マイクロモノづくり」の提唱者、enmono代表取締役三木康司氏に、20名以下のモノづくり中小企業の新規製品開発の手法について話を聞いた。

こうした中小企業の製品開発において、まずネックとなるのが、自由に動かせる経営資源の少なさである。この点について、三木氏は、製品開発は経営者が一人で行うべき、と断言する。「残念ながら、社員に新規製品開発への意欲は期待できないケースがほとんどです。また、新たな人材の登用などにコストをかけて、失敗すると身動きがとりづらくなります。経営者自身のみで、通常業務以外の時間を使い、自社工場の設備を使って、製品開発を行う形が望ましいと言えます」。

製品開発は経営者一人でワクワクすることを自社技術で

enmono 三木康司 代表取締役

とはいえ、どういった製品開発を志向すればよいのか。三木氏は、「仮に可能性があると思っているビジネスでも、気づいている事業にはほとんど競合があると思って良いです。また、売上規模を気にして、何万人、何十万人の最大公約数を取りに行こうとすると、つまらないものができ上がります。大企業に良くある失敗ですね。MBA的なアプローチではダメなのです。製品開発には、別の発想法が必要です」と言う。ここで三木氏が勧めるのが、自社が持っている技術・経営者自身のスキルと、経営者自身の趣味・嗜好を書きだし、チャートでマッピングし、クロスした部分で製品開発の方向を決める手法だ。三木氏の提唱するマイクロものづくりでは、「ワクワク・トレジャーハンティングチャート」と呼んでいる(表)。

「趣味の領域においては、経営者自身が一番のユーザーであり、ペルソナとして有効に機能します。大事なことは、自らがワクワクしていること。このことがモチベーションとなり、夜も昼も、週末も休日も関係なく、継続的に、開発へと駆り立てられることになります。すると、初期段階で出来上がったものが仮に取るに足らないようなプロトタイプモデルだとしても、半年、1年とたつうちに、驚くほどの質感の製品が生まれてくるのです」。

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