「観光」から「歓光」へ 小豆島クリエイティブ・アイランド構想

700以上の島がある瀬戸内海において、淡路島に次ぐ大きさを誇り、古くから四国と本州をつなぐ海上交通の要だった小豆島で、大きなビジョンを掲げ地域振興に取り組む企業がある。

スペイン・アンダルシア地方から移植された樹齢1000年を超えるオリーヴの樹。圧倒的な生命力で訪れる人々に元気と希望を与えている

橋でつながっていない島の中では、国内最大級の人口を持つ小豆島は、古くは、塩づくりが盛んだったが、その後、醤油やそうめん、ごま油などの製造が主要産業となり、戦後には佃煮づくりも盛んになった。明治時代に始まったオリーヴの栽培は、今では百余年の歴史を持ち、その生産量は、日本最大を誇る。

一方、観光産業は、1987年に122万人を超えていた観光客数が、2006年には110万人を割り込むなど、縮小が続いていたが、2010年に始まった「瀬戸内国際芸術祭」を機に、観光客数は増加に転じ、観光地としても再び人気が高まりつつある。

300万人が訪れる島に

そんな小豆島で、大きなビジョンを掲げ、地域振興に精力的に取り組む企業がある。小豆島ヘルシーランドだ。

同社は、小豆島と豊島・直島でオリーヴ栽培からオリーヴを原料とした製品の製造・販売までを手掛けるほか、特産品の開発やアートギャラリー、カフェの運営も行う小豆島を代表する企業の一つだ。

同社の設立は、1985年。現在の相談役である柳生好彦氏が、交流のあった松下電器産業の元会長の髙橋荒太郎翁の思いに応え、設立した。

「小豆島出身の荒太郎翁は、『小豆島に根を残したい、根とは事業である。君がやれ、君にまかす』とおっしゃって、資金の半分を出して、私の起業を支援してくれました。荒太郎翁が、『これからは、健康の時代だよ』と言われたことから、当社は、『心と体の健康を追求して小豆島の発展に寄与する』ことを社是に、小豆島に根付いているオリーヴを柱にすえ、事業を展開してきました」(柳生氏、以下同)

その小豆島ヘルシーランドが新たに打ち出したのが、「小豆島クリエイティブ・アイランド構想」だ。これは、「健康、環境、観光」をキーワードに、地域の自然や建物、産品などの観光資源をブラッシュアップして島の魅力を高め、年間300万人の観光客を集客しようという構想だ。

小豆島には、文化的資源、天然の観光資源が豊富

オリーヴで付加価値を高める

オリーヴは、ポリフェノールやビタミンが豊富な実だけでなく、枝や葉にもあまり知られていない有効成分が含まれているという。そうした要素を活かすために、同社ではオリーヴの実のほか、葉や枝も使い、製品を製造している。その製造方法は、独自に開発したもので、国内外で特許も取得している。こうしたオリジナル製法の開発に加え、オリーヴのさらなる可能性を探るため、新たに「オリーヴ健康科学研究所」を設立、東京農業大学、香川大学やイタリアの大学、研究機関との共同研究を進めようとしている。

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