地域力を結集させた産学公連携 知の創造拠点形成とネットワーク化

自治体、企業が地方創生の取り組みを構想するにあたり、何を主軸にすべきか。都市構想、地域活性、新規産業、人をつなげるネットワークの点から中小企業論の第一人者である清成忠男が提示した。

地方創生は構想から

地方創生の出発点は、全体構想と個別の地域構想の策定である。

全体構想は、国家ヴィジョンの視点からの構想である。国は地方から成る。国が地方のあり方を全体として見渡すことは当然である。マクロ的視点から地方のあり方を示す、いわば鳥観図というべき構想は重要である。

これに対して、個別の地域構想は、地域の視点からあるべき姿を地元が主体的に策定すべきものである。それは、地域の有利性を最大限に活用し、不利な点を克服するという性格を有している。もちろん、全体構想と個別構想を適切に調整する必要がある。

ところで、地域は、立体的にとらえるべきである。少なくとも、次の三重の構成が考えられる。すなわち、(1)ブロック別広域圏域(全国7〜8ヶ所)、(2)都道府県、(3)市町村。

広域圏のコアは、中枢拠点都市である。知的資源の蓄積を促進し、中枢機能を強化する必要がある。とりわけ企業の本社機能、金融機能、大学等教育機関の集積を一段と進める必要がある。また、県庁所在都市は、サブ拠点都市として整備すべきである。さらに、市町村は、基礎的な経済・生活圏として独自の魅力を備えることが望ましい。

これらの地域は、各レベルを超えて、それぞれがネットワークを形成することになろう。ネットワークは、特徴や機能に応じて、相乗効果を発揮することに寄与する。

こうした各レベルの地域の具体像については、論旨の展開とともに後述する。

課題は地方の疲弊の解消

地方創生の課題は、地方の活性化を進め、地方の疲弊を解消することにある。具体的には、人口の地方分散をはかり、地域間の諸格差を是正しなければならない。地方から大都市圏域、とりわけ東京圏への人口流出を抑制するとともに、人口の「地方回帰」を促進する必要がある。とくに若者が地方で就業し活躍することが望ましい。そのためには、地方に雇用の場を確保しなければならない。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り85%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。