個人情報1人分が約420円で流通するトルコ データ漏えいの歴史と現状

(※本記事は『Global Voices』に2024年8月21日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています。)

多人数の個人データ、サイバーセキュリティイメージ

トルコ国民のデータがほぼ無制限に流出している現状

2018年以降、トルコは深刻な経済危機に直面しており、インフレが進行し、通貨の価値が大幅に下落し、生活費が増加している。数年前まで、100トルコリラ(2024年9月為替相場で約420円)は数日間は過ごせる額だったが、現在では特に大都市ではほとんど買い物ができない状況だ。

巨大都市イスタンブールでは、かつて労働者階級の定番フードだった「バルク・エキメキ」(焼き魚とレタスのサンドイッチ)が、現在では120〜150トルコリラ(約3.50〜4.50米ドル)する。また、バルク・エキメキで有名なイスタンブール旧市街と金角湾が交わるエミノニュ地区までの公共交通機関を利用するだけでも、乗り換えを一回含めれば105トルコリラが必要である。もし自宅でマクドナルドのビッグマックを注文するなら、現在では170トルコリラかかる。

さて、ここにある日の昼食を取るヒマがなく、余った100トルコリラをどうしようかと考えている人がいたとしよう。そのお金でとんでもないものが買えると聞いても、トルコに詳しい人は驚かないだろう。そのとんでもないものとは、トルコ国民や居住者に関するあらゆる個人情報だ。そのデータには例えば、保険証の番号、電話番号、住所、職務経歴、医療情報、不動産の権利証書、家族関係など、あらゆる情報が含まれている。わずか100トルコリラで、過去トルコに住んでいた人々に関するこれらすべての情報が手に入ってしまうのだ(※2024年9月現在の価格は多少異なるかもしれない。トルコではインフレが進行しており、サイバー犯罪者にも影響があるため価格は変動するが、それでも依然として非常に安価である)。

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