「芝生買い取りプログラム」で地域住民の30%節水を達成 米ユタ州ワシントン郡
(※本記事は『reasons to be cheerful』に2024年5月14日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
もし庭の芝生を、水をあまり必要としない植物に植え換えろと言われたら? 水1滴ですら貴重なある地域で、ちょっとした補助金が住民の積極的参加を促している。
バージン川は森林に囲まれた高原の間を曲がりくねりながら、ユタ州南部のワシントン郡を流れている。この川は、米国でも成長著しいセントジョージ市を含む地域の主な水源だ。ワシントン郡は南西ユタ州で最大の雇用拠点であり、現在の人口約20万人から2060年までに倍増すると予測されている。
この地域はまた、ユタ州で最も暑く乾燥した郡であり、唯一の水源であるバージン川流域に依存している。しかし、気候変動による干ばつと取水過剰でバージン川の水量は減少している。成長する需要を満たすためには節水せねばならず、ワシントン郡はユタ州内でも最も厳しい規制を布いている。その中には、住民の芝生を「買い取る」という大胆なプログラムがあり、水をあまり必要としない植物に置き換えるよう奨励している。

芝生の維持には大量の水が必要だ。ユタ州全体で、なんと住宅の飲料水の70%が芝生のために使用されている。ワシントン郡水資源保全局の試算では、従来は1平方フィートあたり年間56ガロン(約212リットル)使用されていた水が、庭の芝生を土地に合った植物に変えるだけで、年間11ガロン(約42リットル)に節水できると見積もられている。
ワシントン郡水資源保全局が「芝生買い取りプログラム」を開始したのは2022年12月。「ユタ州は現在、水資源保全の最前線にいる」と、この地域の保全マネージャーであり、西部全域で芝生買い取りプログラムの開発責任者であるダグ・ベネット氏は言う。「この芝生買い取りプログラムは、郡の水資源保全戦略の中核だ。インフラを拡張せずに済むため、最も費用対効果の高い水供給戦略なんだ」。
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