群馬県発 小さな改善の積み重ねで省エネを推進する群馬合金の実践事例
(※本記事は「関東経済産業局 公式note」に2026年3月25日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

関東経済産業局で毎月開催する記者会見(定例プレス・ブリーフィング)では、関東管内で活躍する企業にご登壇いただき、現在までのストーリーなどをお伺いしています。令和8年2月24日には群馬合金株式会社の六本木 純一社長、真下様にご登壇いただき、同社の省エネルギー化へ向けた実践的な取り組みについて話していただきました。
この記事で分かること
- 群馬合金株式会社の省エネ活動の全体像と背景
- 社員全員で進める改善の仕組みと運用のポイント
- 具体的な省エネ実践事例とその効果
会社概要と事業の特徴
群馬合金株式会社は、群馬県伊勢崎市に本社を置く非鉄金属のダイカスト専業メーカーです。ダイカストとは、溶かした金属を高圧で金型に流し込み、寸法精度の高い部品を大量生産する鋳造方式を指します。同社は金型設計・製作から鋳造、切削、仕上げ、組立まで一貫で対応。国内3拠点と海外2拠点(フィリピン)を持ち、自動車など幅広い分野に部品を供給しています。また、環境マネジメントの一環として、エコアクション21を認証・取得しています。

省エネ推進の背景
省エネ推進の背景には、エネルギー価格の高騰や取引先からのカーボンニュートラル要請の高まりに加え、夏季の気温上昇に伴う空調・設備負荷の増大があります。同社が拠点を置く伊勢崎市は高温を記録する地域であり、工場運営では圧縮空気や空調の電力負荷がコストに直結します。こうした事情を踏まえ、同社はまず電力の見える化から着手し、運用改善(エア漏れ対策・圧力最適化)、必要に応じた設備投資へと段階的に取り組みを進めました。
全員参加で続ける“改善の仕組み”
同社は社員全員が設備や作業のムダ・トラブルを見つけて改善する仕組みを継続的に行っています。月1回、社長と診断者が職場を回って取り組みを評価し(いわゆる「TOP診断」)、PDCAを継続。年間1,000件超の改善提案が生まれ、生産性向上(サイクルタイム短縮・不良低減・稼働率向上)と省エネを同時に進める土台になっています。社内ではこの枠組みを「C-TPM(Compact-TPM)」と呼び、中小企業でも取り組みやすい形に整理された“全員参加の継続改善”という意味合いで用いています。

省エネ診断と伴走支援の活用
取り組みの初期段階から、外部の省エネ専門家による診断と伴走支援を受けました。現状把握、改善テーマの明確化、測定の進め方、社内推進会議への助言など、自社だけでは気づきにくい課題の抽出に役立ちました。
実践的な省エネの取り組み
同社では、見える化 → 運用改善 → 設備投資を段階的に組み合わせ、次のような実践を進めています。
1. 電力使用量の見える化
まず、設備ごとにどれだけ電気を使っているかを調査し、電力消費の大きい機械から順に改善に取り組めるよう整理しました。
2. 工場内の空気漏れ対策(電気のムダをなくす取り組み)
工場では機械を動かすために圧縮した空気を使っていますが、空気が漏れると、その分だけ余分な電力が必要になります。そこで、空気が漏れている場所を確認し、順番に直していきました。また、再発を防ぐため、社員向けに部品の締め方など基本的な取り扱い方法の勉強会も行いました。
■効果:CO₂ 11.5トン/年削減、電力量 約2.7万kWh/年削減、電気料金 約55万円/年削減
3. コンプレッサー(空気を圧縮する機械)の効率改善
空気を送り出す強さ(圧力)を必要以上に強くすると、その分余計な電気を使ってしまいます。そこで、工場で本当に必要な圧力を確認し、無理のない範囲で圧力を下げて運転するようにしました。
■効果:CO₂ 7.1トン/年削減、電気 約1.7万kWh/年削減、電気料金 約34万円/年削減
4. 生産工程を見直した省エネ(本業と一体の改善)
製品をつくる時間を短くできるよう、工具メーカーと一緒に加工用の刃物を見直しました。加工が速くなることで、同じ製品をつくるために必要な電気が減り、結果として省エネにつながります。また、不良品が減ることで、作り直しに使う電気も減らすことができました。
■効果:CO₂ 12.6トン/年削減、電気 約3.0万kWh/年削減、電気料金 約60万円/年削減、不良率:7.7% → 4.6%に改善
5. エネルギー効率の高いコンプレッサーの導入
国の補助金を活用し、コンプレッサーを必要な空気量に合わせて動きを自動で調整できるインバーター型の機種に切り替えました。これにより、エネルギー効率が上がり、ムダな電力消費を大幅に減らしています。
■効果:CO₂ 144.7トン/年削減、電気 約34万kWh/年削減、電気料金 約690万円/年削減
6. LED照明への更新(設備投資)
本社事務所・倉庫・第2工場の照明をLED化。
■効果(合算):CO₂ 約25.9トン/年削減、電力量 約6.1万kWh/年削減、電気料金 約124万円/年削減
取り組みの効果と社外発信
複数の取り組みが評価され、SDGsぐんまビジネスプラクティスに選定。顧客企業から環境部門推進優秀賞も受賞しました。さらに取引先向けの改善事例説明会を開催し、横展開と情報共有を進めています。
まとめ
群馬合金株式会社は、データで現状を把握→運用を見直し→必要な設備投資へつなぐという順序で省エネを推進し、外部専門家の診断・伴走支援を効果的に活用してきました。省エネを特別な活動ではなく、本業の改善の延長と位置づけ、全員参加の小さな改善の積み重ねで効果を可視化し、継続性を高めている点が特徴です。今後も「世界で一番きれいで地球にやさしいダイカスト工場」の実現に向け、改善を継続していく方針です。
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- 関東経済産業局 公式note