オープンデータ化が清流確保のカギ? 英国の水道会社が下水排出記録を公開
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月22日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)

イングランド国内で初めて、合流式下水道が大雨時に容量超過となり、未処理または部分的に処理された排水が河川や水路に放出される現象(CSOs:Combined Sewer Overflows)を誰もがリアルタイムで確認できるようになった。今週、各水道会社が下水道の放流状況を監視する数千の「イベント期間モニター」の詳細な情報を公開した。このモニターは、下水が流出しているかどうかを記録するために設置された装置であり、現在稼働しているモニターの情報に誰でもアクセスできるようになった。
ただし、この動きは水道会社の透明性を求める自主的な取り組みではない。環境法(Environment Act)第81条が2024年1月に施行され、こうしたモニターのデータを「誰でも容易にアクセス可能」にすることが義務付けられたからである。
水質汚染を研究する科学者として、このデータの公開を非常に歓迎している。2024年初頭から、水道会社は下水流出の場所を示す地図を提供し始めたが、基礎データへのアクセスは制限されていた。その結果、一般の人々は水道会社が作成したデータを信用するしかなかった。残念ながら、これらの地図は必ずしも一般の人が知りたい情報を正確に反映しているとは限らない。
例えば、海水浴の安全性を懸念する人々にとっては活発な下水流出が発生している場所を示す地図の閲覧を望むはずだ。しかし一部の水道会社は、この論理に反して、非流出のアイコンで流出箇所を隠すような地図を提供し、地図を拡大しなければ流出を特定できない仕組みを採用していた。
Gotta love the presentation choices made on some of the water firms' new sewage spill maps.
— Adam Vaughan (@adamvaughan_uk) May 14, 2024
Yorkshire Water's is a marvel. On the zoomed-out default view, things look basically fine, a sea of green ticks.
Zoom in and you see the green ticks are just hiding recent spills! pic.twitter.com/D5sNdHadg3
現在、生データが公開されたことで、他の組織が一般市民の利益に重点を置いた分かりやすい地図を作成できるようになった。
地理空間開発者のジョナサン・ドー氏と共に、私は「SewageMap」というオープンソースの無料ウェブサイトを立ち上げた。このツールは、テムズ川流域での排水状況を示し、特に下流で影響を受ける河川を分かりやすく表示している。現在のモニターが提供する情報は限定的で、リスク情報(詳細な水質汚染レベル)を提供することはできないが、それでも水泳愛好者、学者、市民科学者にとって有益で明確な情報を提供する。
続きは無料会員登録後、ログインしてご覧いただけます。
-
記事本文残り65%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。