「地方創生2.0基本構想」が閣議決定 「人口減でも元気な地域」の維持へ

今後10年間の地方創生の方向性を提示する「地方創生2.0基本構想」が閣議決定された。2014年の地方創生の開始以降、全国で様々な地域活性化の好事例が生まれてきたが、地方創生2.0はこれまでとは何が異なるのか。内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局長の海老原諭氏が語った。

内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局長 海老原諭氏

人口減少への対応に軸足を
置いた「地方創生2.0」

地方創生2.0の考え方のベースは、日本の人口の長期的推移だ。総人口は2008年の1億2,808万人が最高ですでにピークアウトし、2050年には1億469万人、2070年には8,700万人、2120年には4,973万人に減ると予測されている。明治維新の頃(1868年)の人口が3,330万人だったことを考えると、200年ほどの間に劇的な増減をたどることになる。

「地方創生は、約10年前のちょうど人口が減り始めたタイミングで、人口減少に歯止めをかけることを目的に始まりました。将来人口予測としては、高位推計(楽観的シナリオ)、中位推計(最も可能性が高いシナリオ)、低位推計(悲観的シナリオ)の3つがありますが、残念ながら、現在は低位に近い形で推移しています。出生数は70万人を切り、今後20年から30年の間は、人口は減ることが確実です」と内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局長の海老原諭氏は語る。

これまでの地方創生と、地方創生2.0の違いは何なのか。最大のポイントは、「人口減少に歯止めをかける」というほかに、もう1つの柱として「人口が減っても経済や地域が元気で、その地域で生活する人が笑顔で暮らせるようシフトする」という考え方が追加されたことだ。

「人口減少に歯止めをかけることと、減る中でどうするかは二律背反ではありません。両方追っていきますが、この10年間やってみた結果として、後者の人口減少への対応にも軸足を置くべきだと考えています。地方はすでにどこの会社も供給力不足で、黒字なのにドライバー不足で事業を閉じたバス会社もあります。自治体も企業も、人口減少をどう考えるかが大きな課題になっています」

「若者や女性にも選ばれる地方」
を新たな切り口として提示

地方創生2.0では、目指す姿として「『強い』経済と『豊かな』生活環境の基盤に支えられる多様性の好循環により、『新しい日本・楽しい日本』を創る」ことを掲げている。その基本姿勢・視点として、「①人口減少への認識の変化」「②若者や女性にも選ばれる地域」「③人口減少が進行する中でも『稼げる』地方~新結合による高付加価値型の地方経済(地方イノベーション構想)~」「④AI・デジタルなどの新技術の徹底活用」「⑤都市と地方が互いに支え合い、人材の好循環の創出」「⑥地方創生の好事例の普遍化と、広域での展開を促進」の6点を掲げている(表)。

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