自治体と価値共創 三井住友海上のAI道路点検サービス

デジタル庁は最優先領域を「準公共」と定めているが、自治体と民間企業が密接に連携し社会課題に挑む事例が全国で発起している。2022年度グッドデザイン賞を受賞した三井住友海上火災保険の「ドラレコ・ロードマネージャー」も同様だ。同社ビジネスイノベーション部に事業化の経緯を聞いた。

(文・矢島進二 日本デザイン振興会 常務理事)

 

藤岡 晋 三井住友海上火災保険 ビジネスイノベーション部ディレクター(左)
堀野 正臣 同シニアマネージャー(右)

2012年12月に中央自動車道の笹子トンネルで、天井のコンクリート板が落下し、走行車が巻き込まれ9名が死亡する事故がおきた。これが契機となり、道路・トンネル・橋など高度成長期に構築したインフラの老朽化や保守問題が、大きな社会課題として表面化した。道路の老朽化は、今後加速度的に高まり、建築後50年以上経過する割合は、2033年で63%になる見通しだ。その流れを受け国土交通省はガイドライン「舗装道路点検要領」を2016年に策定した。

総距離120万kmを超える日本の道路は、道路法により高速道路や国道など4種に区分けされ管理者が定められる。うち84%が「市町村道」で、各市町村が管理し費用は税金でまかなっている。舗装道路の耐久年数は10〜20年で、劣化等によりアスファルトの表層部分は剥離し穴(ポットホール)があく。補修をしないと事故を招くため、市町村の道路管理課は日常的に目視で巡視している。しかし、予算も人員も減少傾向にあり、従前のような対応はできないのが現実だ。

こうした状況を受け、三井住友海上火災保険では2019年に行ったビジネスアイデアコンテストで社員が提案したドライブレコーダー(以下、ドラレコ)を用いた道路点検サービスを事業化した。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り75%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。