事情に合わせた承継を 中企庁が改訂ガイドライン発表

中小企業の経営を後継者に円滑に承継するための法整備から14年が経過した。後継者を早めに決める重要性が認知され、後継者不在による廃業を防ぐ手立てが充実してきた。事業継続の在り方が多様化する中で、ビジネスを引き継いだ後を視野に入れた支援も始まっている。

中小企業の経営者の高齢化と、後継者不在を理由とする廃業は日本経済の課題の1つとされてきた。過去10年以上にわたって、事業を継続するための様々な方策が模索されてきた結果、中小・零細企業の事業承継のあり方は多様化している。例えば、保守的とされる地域や業界においても、後を継ぐ息子がいない場合に、経営者の娘が事業を引き継ぐ例は増えている。また従業員、M&Aによる承継等も選ばれるようになってきた。事業の引き受け手を探す手段として、インターネットを活用したものが加わり、制度面での公的な支援もある。

図1 従業員規模別にみた経営者交代による経営者年齢の変化

大企業ほど交代する経営者の年齢が若く、交代前と後の年齢差が小さい傾向が見える

出典:中小企業白書2021年版(中小企業庁)

多様化する選択肢から
親族ではない人への承継が増える

帝国データバンクが実施した、全国企業「後継者不在率」動向調査の2021年版では、後継者不在率は61.5 %と調査を始めた2011年以来最低となった。不在率は4年連続で減少しており、企業が後継者を決定するというトレンドが顕れている。コロナ禍により自社事業の将来を見つめなおす経営者が増えたことも背景にはあるかもしれない。

同調査によると、事業承継の主流は今も親族による承継で、38.3%を占めた。ただし、この割合は年々少しずつ低下している。後継者候補が分かっている企業に関する分析でも、最も多いのは「子供」を候補としている企業で38.5%を占めるが、経年で見ると減少傾向にある。

その代わりに増えているのは、親族ではない役員などが社長に就任する「内部昇格」で、3割強を占めるようになった。後継者候補としても「非同族」、つまり従業員からの昇格や外部招聘、買収などを視野に入れる企業が増えている。今回の調査でも、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が17.4%と高くなった。社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」の割合も7.6%を占めていた。

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