慣れ親しんだ味をもう一度 惜しむ声に、個人創業で応える

2021年11月、全28店舗を一斉に閉店したパン・洋菓子店「ベルべ」。元ベルベのパン職人・小嶋亮氏は、地域の声に応え、株式会社Az(アズ)を創業した。同社がオープンした「REBELLBE(リベルベ)」を通じ、地域で長年親しまれた味の提供を続けている。

REBELLBEは、店で小麦粉から焼き上げたパンを販売するベーカリーだ

まちのパン屋さんの突然の閉店

長引くコロナ禍で厳しい状況の続く飲食業界。なかでもパン業界は、原料費の高騰もあいまって厳しい状況にある。そうしたなか、2021年11月8日、神奈川・東京を中心に28店舗を展開していたベーカリー・洋菓子チェーン「ベルべ」が何の前触れもなく全店を閉店した。

ベルベは、原料からパンの生地をつくり、成形・発酵させて焼き上げる、 というパンづくりの全工程を店舗で行う「オールスクラッチ」のベーカリーだった。1976年の創業以来、手ごろな価格の焼きたてパンや洋菓子を販売する素朴な「まちのパン屋さん」として地域に根を張り、小さい子どもからお年寄りまで幅広く住民に愛されてきた。突然の閉店に、各店舗のSNSなどには惜しむ声や励ましの声があふれた。

Azを創業し、REBELLBEをオープンさせた同社代表の小嶋亮氏は、ベルベのパン職人としてチェーンの様々な店舗でパンを焼いていた。「いつかは独立を」と考えていたところで、突然の閉店に直面し戸惑った1人だ。

「お客さまからの惜しむ声の多さや、ベルベで一緒にパンを作ってきた職人たちからの声かけもありました。これまで現場でパンを作り続けてきたノウハウをもとに、再びお店を作れるのではないかと考えるようになりました」と振り返る。

店舗と職人と味を引き継ぐ創業

小嶋氏はベルベ創業者の娘婿にあたるが、経営には関与していなかった。そこで、個人の新規創業としてベーカリー運営会社Azを2021年12月に立ち上げた。ベルベとは全くの別法人となるが、従業員は100%元ベルベの人びとで、現在オープンしている2店舗は元ベルベの建物・設備を居ぬきで使用している。

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