ジャパンSDGsアワード 技術×ビジネスで途上国に貢献

SDGs達成に向けた企業・団体等の優れた取り組みを表彰する「ジャパンSDGsアワード」。5回目を迎えた2021年度は、アフリカなどの途上国を舞台に、テクノロジーを活用した持続可能なSDGsビジネスを展開するスタートアップの受賞が目立った。

OUIは場所を選ばず眼科診察を可能にするデバイスでケニアやベトナムに貢献

スマホで眼科診察を実現
世界から失明の根絶を

外務大臣賞を受賞したOUIは、慶應義塾大学医学部の眼科専門医3名が2016年に立ち上げた大学発ベンチャーで、スマートフォンアタッチメント型の眼科診療機器「Smart Eye Camera(SEC)」によって失明のない世界の実現を目指している。

スマートフォン外付け型眼科診療機器「Smart Eye Camera」

現在、世界の失明人口は3600万人、30年後には1億2000万人を越えると言われているが、その原因の半分以上は白内障だ。白内障は適切な時期に治療をすれば失明に至らない可能性が高いが、発展途上国では白内障による失明が社会問題となっている。OUI創業者らは毎年ベトナムの農村での白内障手術ボランティアに参加しており、電気のない地域や被災地など場所を選ばず眼科診察を可能にするデバイス開発の発想が生まれたという。

SECはスマホに取り付けて使用する小型な医療機器で、既存の細隙灯顕微鏡と同様に眼瞼・角結膜・前房・虹彩・水晶体・硝子体の観察ができ、白内障などの眼科疾患を診断することができる。動物実験や人間の眼を使用した臨床研究の結果、細隙灯顕微鏡と同等の性能があることが証明されている。2019年に日本、2021年に欧州で医療機器登録を行ったほか、ケニアとベトナムでも医療機器登録を行っている。

十分な眼科診察を行い得ないような途上国を中心とする20か国に進出、現在100台以上のSECが展開されており、年間1万5000件以上の診断を実施。失明や視覚障害を救う活動を実施し、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(全ての人が適切な予防、治療、リハビリ等の保健医療サービスを支払い可能な費用で受けられる状態)の達成に貢献している。

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