モデル自治体の先行例にみる 群マネと広域連携のリアル
「群マネ」は現場でどう動きだすのか。モデル地域として先行して取り組む大阪府貝塚市・大阪府泉南市・奈良県宇陀市の担当者が立ち上げや合意形成、続ける仕組みづくりのカギや課題を率直に語り合った。
現場の情熱とトップの号令が連動
公共インフラのマネジメントをテーマにしたパネルディスカッションには、国のモデル地域に選ばれ、「群マネ」を先行して実践する3市から、大阪府貝塚市の七野司 公共施設マネジメント室長、泉南市の奥野誠也 公共施設再編課長、奈良県宇陀市の花本達哉 建設課主査が登壇。事業構想大学院大学の重藤佐和子教授がファシリテーターを務めた。
自治体として「群マネ」に参画するきっかけや経緯において、3市に共通してカギとなったのが、首長のリーダーシップだ。貝塚市は国土交通省出身の前市長の号令で、泉州地域12市町の広域連携を発起。宇陀市も県職員出身の市長のトップダウンで動き出した。
「現場に、現状への危機感や連携の先に広がる可能性に対する情熱をもったリーダー的な存在は必要です。ただし、リーダーに任せて、一人に過度な負担をかけるという事態も避けなければなりません。現場の動きと首長の号令とが連動することで、組織は動き出すと実感しています」。貝塚市の七野氏はこう振り返る。
貝塚市総合政策部 行財政管理課
公共施設マネジメント室長 七野司氏
それぞれの課題を深掘りして話し合う
先進的に見える取り組みにも、苦労は尽きない。最大の壁が、関係者の合意形成だ。老朽化と人材不足という課題はどの自治体も同じでも、深刻さは規模や地域特性によって全く異なる。市町ごとの課題とその現状を数値で可視化し、違いも受け止めながら、目指す姿を話し合うことが近道だという。
泉南市総務部 公共施設再編課 課長
奥野誠也氏
貝塚市・泉南市の連携においては、各市町が道路・公園・下水等の分野ごとに参加するかどうかを判断し、市町の現状に沿って無理のない形で連携する体制をとった。
宇陀市の花本氏はこう述べる。
宇陀市 主査 花本達哉氏
「『技術者不足』と大づかみに課題を掲げて対策しようとして壁にぶつかりました。『細かいこと』だとしても、市町村それぞれの困りごとを掘り下げ、参画するメリットを提示することで初めて、皆が前向きになったといえます」。
議論は、続けるための「仕組み」に及んだ。
「プロジェクトをひとつひとつ積み上げていく中で、部署や自治体を超えた人と人とのつながりが生まれ、それが、次の動きへのエンジンになる。広域連携や『群マネ』の体制は、その手段、きっかけづくりとして、大いに活用すればよいと思っています」と泉南市の奥野氏。
ファシリテーターの重藤氏は「『群マネ』の『マネジメント』は、まず、市町村間の調整と合意形成が大きな部分を占めるといえそうです。地域への責任感と熱意をもった職員同士が胸襟を開いて根気よく話し合うプロセスが、大きな動きへとつながる姿に、期待したい」と締めくくった。